ろくでなしの歌 4 [パーベル学パロ]


パーベル学パロその4。もうすぐ半分!!
でも小説打つ時間がないよ!(爆)

折りたたみでどうぞー。









寒い。と言いながら玄関の扉が開く音が聞こえた。
冬も本番だから無理もないだろうなぁ。などとぼんやり考えながらそちらを見やる。

「おかえり」

すっかり馴染んだ他人の家で、まるで家主のようにネッパーはベルガを迎え入れる。
一方の家主はマフラーをときながらそれに慣れたように「ただいま」と返す。

「今日最低気温3度だとよ」
「…どうりで…」
「よかったな。部屋あっためておいてくれる奴がいて」
「そいつが早いところ自分の進路を決めてくれればいいんだがな」
「……アンタ、そんなキャラだっけ?」
「そんなキャラだ」

最近随分とネッパーに対するベルガの態度が崩れて来たように思う。
転がり込んですぐは珍しかった笑顔も最近ではよく見るようになった。
それだけの月日が流れたのだ。と思うと自分も随分長い家出をしていると思う。
だが、寂しいとは思わなかった。
昼間はきちんと学校にも行っているし、帰宅して待っていると必ず家主が帰ってくる。
実家と比べたら静かなものだが、この空間に心地よさを感じているのもまた、事実だった。

「あ。そうだ」
「?」
「帰り道でたいやき買って来たぞ」

鞄を漁り、取り出されたのは茶色い袋。
それを机の上に置くとそのまま鞄の整理を始めたベルガを尻目にネッパーはその袋に手を伸ばした。

「ほんとだ」

広げた袋の中には2匹のたいやき。
迷う事も遠慮する事もなくそのうちの1匹を掴むと、鞄の整理を終えたらしいベルガに残った一匹の入った袋を差し出す。
遠慮ないネッパーになにも言う事なく、ベルガは素直にその袋を受け取った。
もはやこういったやりとりは日常と化していた。

「アンタって甘党?」
「いや、そうでもない」
「この前は焼き芋買って来てたじゃん」
「…甘党の判断基準はそこか」
「甘いだろ、あれ」
「いや、甘いが…」

「あ。アンタ頭から食うの?」
「ああ。…なんだ。お前は尻尾か?」
「いいや。真ん中から」
「…真ん中?」
「真ん中」

そんな、他愛もない会話を繰り返す。
端から見ると淡々としたやり取りなのだが、本人たちなりに会話は弾んでいるらしい。
こういうときは進路も家出もどこか遠くの話で。
ネッパーにとって嫌な事を忘れられるこの空間が、妙に心地よかった。
帰りたくない。と思うほどに。

「そうだ。明日急にバイトが入ったから遅くなるぞ」
「げ。マジかよ」
「安心しろ。晩飯は作って行く」
「…あー…ならいいわ」

ネッパーは一切家事ができない。
そのため晩ご飯はベルガが帰ってくるまでいつもお預けの状態だ。
ベルガのバイトが長引いた日はネッパーにとって拷問である。
一度ベルガが夜遅くに帰宅した時、空腹で横になって動かないネッパーを見て以来、バイトのある日は作り置きをしていくようになった。

「お前も少しは自炊できるようになったらどうだ」
「えー…」
「それが嫌ならコンビニで弁当なり買えば良いだろう。この前は驚いたぞ」
「…いや、まあ…」

呆れたようなベルガの言葉にネッパーは眉根に皺を寄せた。
気怠そうに机に突っ伏す様子から本気で自炊が嫌と見える。
だが、そんなベルガの予想とは裏腹にネッパーは別の理由を呟いた。





「俺はアンタの飯が食いたいんだけど」





本心でそう言う。
急に静かになったのを不思議に思い、ネッパーは顔をゆっくりと上げて、目を見張る。
そりゃあそうだ。前までは散々「味が薄い」だのなんだの文句は言ってきた。
だが、その反面別に嫌いでない事も言って来たはずだ。
なのに、何故このタイミング。



ベルガはわずかに顔を赤らめ、照れていた。


その光景に、ネッパーは視線を動かさずに、口のみを動かす。

「……………なあ」
「…なんだ。褒めても何も出ないぞ」






「俺、今アンタの事可愛いって思ったんだけど」





どうすりゃいい?
問えば、しばらくの間の後、再び照れで顔を赤くし困ったような顔をする。
無理もないだろう。いきなり野郎に可愛いと言われて、どうしたら良いかなんて分かる訳がない。

「……人を、からかうな…」
「マジだって」
「……………そうか…」

ため息と共にすっかり取り合ってくれなくなったベルガに口を尖らせる。
今までとは逆に呆れたような口調で返されるばかりだ。
結局その後は取りつく島もなくなり、その話題は打ち切られてしまったのだが、
ネッパーの脳裏からは先ほどのベルガの表情が焼き付いて離れなかった。




*********************
ベルガの肌の色で「赤くなる」って凄い違和感ですけど、ここであえて「青くなる」とか書いたら台無しですよねwww
結局のところベルガって照れたらどうなるのだろう。


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