交錯する [エイリア]


いきなりサーチ様の「デザーム」項目から飛んで来ていらっしゃる方が爆発的に増えていて吹いた。
皆さん顕著すぎるwwwwまあ、私も踊らされた一人ですけどね!!
本編はまだ見てませんので土曜18時にテレビ前で正座で待機しようと思います。



踊らされた勢いで一気に円デザと吹デザ書き上げた私は馬鹿なのだろうか。
とりあえず今回は吹デザ。若干随分前にUPした「星屑の夜、君に捧ぐ」とリンクしてます。
一部そちらを読んでいただいた方が分かりやすい部分がある、かも、しれ、ない。
設定的には引き抜きでデ様が加入した感じで。3期もへったくれもなく。












キャプテンが連れて来たのは、かつて敵だったその人。
そして、僕の弟が、好きな人。




「やあ。久しぶり」
「……お前は…」

柔和な笑みを浮かべて、吹雪はそっとその人物に近寄る。
彼…デザームは一瞬驚いたように目を見開いたかと思えば、僅かに首を傾げた。

「…少し、雰囲気が変わったように思えるが…」
「うん。ちょっと、ね」

自分が誰だか分かってもらえたらしく、吹雪はひとり胸を撫で下ろす。
いつも着けていたマフラーもない。髪型も、ほんの少しだが変わっている。
そんな中でも、デザームは吹雪を吹雪と認識し、頷いた。

「まさかキャプテンが君を連れてくるなんて思わなかった」
「私も、驚いている」

また、サッカーができるのだな。彼らと。
そう呟き、微笑む様からは昔の面影は感じない。
ただ、サッカーがどうしようもなく好きだ。ということは変わらないらしく、思わず吹雪は笑みを浮かべた。
彼の事はずっと見ていた。弟が、もう一人の自分が、酷く気にかけていたから。
だけども、そのもう一人はもう、いない。

「アツヤがいたら、喜んだだろうなぁ」
「……以前話していた、もう一人のお前か?」
「…覚えてたんだ」

随分前に、偶然出くわした深夜の事。
そのとき少しだけ自分について話した事を、目の前の男が覚えていた事に何故だか嬉しくなる。
覚えていたのは、自分だけではなかったのだ、と。

「いたら、ということは、今はいないのか」
「うん。ややこしい話になるけど、アツヤは僕と一つになったんだ。
 もう、僕は一人じゃないからって。自分がいなくても大丈夫だろうって言って」
「…そうか」

ふさぎ込んでいた時、周りを見渡せば皆がいた。
アツヤは不器用に微笑んで、大丈夫だ。と、言ってくれた。
僕は一人じゃないからって、一人で全部抱え込んで、頑張らなくていいからって。
彼が消えていなくなる時、温かいものを感じた。
いなくなったとしても、きっと、アツヤは僕の中にいる。そう信じている。
ぎゅっと胸元を握りしめ、デザームに笑顔を向ければ、僅かに笑みを返される。
そう、アツヤはずっと、出会ったときからこの人が好きだった。惹かれていた。

「アツヤはずっと君の事気にしてたんだよ」
「…私もだ。あれほどのシュートを撃てる者はそうそういない」
「………うん」

おそらく、そう言う意味では、ないのだけれど。
そう思っても、昔を思い出しているのか、力強く頷くデザームに、曖昧な言葉しか返せない。
何故だか分からないが、吹雪は心の中にもやのようなものを感じていた。
アツヤはずっと彼を見ていた。
そして、デザームもアツヤを見ていた。
自分の興味をそそったから。自分が楽しめる試合をしてくれるから。
敵として、ライバルとして、強力なストライカーだったから。



そう、



彼が見ていたのは、ずっと『吹雪アツヤ』だった。



それが、たまらなく、悔しかった。




「……そうだ。シュート練習つき合ってくれないかな?」
「?」

見てほしかった。自分を。吹雪士郎を。
そう思い始めたのはいつからだろう。
アツヤがずっと彼の事を気にして、それに同調するように自分自身も彼を見ていた。
それが、気づけばその感情が、アツヤと同じものに成り代わったのだろうか?
だけれども、GKの彼が見るのはいつでもFWの吹雪。
DFの自分になんて、目を向けてくれやしない。
それがたまらなくもどかしかった。

お願い。
お願いだから。

僕も、見て。


「あれから、僕も強くなったんだよ。新しいシュート技だって覚えたんだから」
「…ほう」

にこやかな笑みを浮かべる吹雪に、デザームは興味があるのか楽しそうに笑う。
彼は常に強い者と相対して、己を鍛える事が好きだ。それは十分に理解している。
だから、それを利用しようと思う。
ずるい。なんて言わせない。アツヤだって、きっかけは同じようなものだろう。

「おもしろそうだ」

ニヤリ。と笑い、自分を見やるその視線に、吹雪は歓喜する。
そう、僕を見てほしい。吹雪士郎、その人を。

「じゃあ始めようか」
「ああ」
「5本勝負でどう?」
「かまわん」
「じゃあ勝った方が負けた方の言う事を一つ聞くってことで」
「……ああ…?」



なあ。アツヤ。





君が好きだった人を、僕が貰っても、いいだろうか?






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