羨望 [鬼受け]


源→鬼で、佐久→鬼な話。
全体的にギャグ。洞面と源田の組み合わせが書きたくなったもので。
洞面は相手が1年だろうが2年だろうが3年だろうがタメ口だったらいい。
小さいから許されます。可愛いは正義!!


と、言うわけで続きからどうぞ。
源田が可哀想なヘタレになりました(爆)




練習の休憩の合間、ぼーっとしている源田を見つけた。

「げんおー。どした?」
「ん?…ああ、洞面か」

暇だったらしい洞面が物珍しいものを見るように源田に近づく。
帝国サッカー部内で一番小さい洞面に目線をあわせるようにしゃがんだ源田に、
もう一度「どした?」と聞いた。

「何がだ?」
「ぼーっとしてたよ?」
「……あー…」

小首をかしげて問えば、気まずそうに源田は苦笑いを浮かべた。
そして、不意にグラウンドの端の方に向けられた視線。
それに釣られて、洞面もそちらを見ればそこには鬼道と佐久間の姿。
なにか言い合っているらしい。その声が遠く離れたこちらにまで聞こえてくる。

「鬼道さん!今日練習終わったら一緒に帰りませんか?」
「…別に構わないが…」
「よっし!じゃあついでなんでどっか寄り道して行きましょうよ!」
「……元気だなお前は」
「鬼道さんと一緒にいられる時間が長くなるのなら元気にもなりますよ!」
「うん。気持ち悪い」
「ストレート!?でもそんなところも好きです!」
「分かった分かった…」

いつも通りの佐久間が、いつも通り鬼道にあしらわれている風景。
別に変わったところ等何もないごくありふれた光景だ。
再び源田の方に視線を戻せば、やはり彼の視線はあの2人に釘付けだった。
たまに、ため息なんかついたりする。
それをしばらくの間見上げていたのだが、なんとなくピンと来て、洞面は源田のユニフォームの裾を引いた。

「げんおーはあのどっちかが好きなの?」
「…は!!?」

数秒遅れて間の抜けた声が響いた。見てみれば、源田の顔は真っ赤だ。
実に分かりやすい。
なんだか楽しくなって来て、洞面はニコニコしながら源田をからかう。

「ね。どっち?」
「………う…」
「いいじゃん。僕誰にも言わないからさ」

子どもがだだをこねるように、源田の手を引っ張ってねだる。
こういう時、体が小さいのは得だと思う。こういうことをしてもはずかしくないから。
しばらく躊躇っていた源田だったが、ついに観念したのか、小声でぽつりと観念した。

「…き、鬼道…」
「キャプテンの方かぁ!」
「馬鹿!!声がでかい!!」

慌てて洞面の口を塞ぐ。ゴールキーパーなだけあって、その力は半端ではない。
じたじたと暴れる洞面に、源田がはっとして手を離してくれなければ窒息していたかもしれない。
そんな、端から見れば先輩と後輩が仲良く遊んでいる風景だが、
話の内容を知るとどう考えてもそこら辺の女子の恋バナのようなやりとり。
だが、当事者たちは知る由もなく、洞面がさらに話を進める。

「そっかぁ。好きだったんだ」
「…ああ」

再び鬼道と佐久間の方を向けば、やはり2人が仲良さげにじゃれ合っている…
というよりは佐久間が強制的に鬼道に絡み、鬼道が全力で拒絶していた。
そんな光景をしばらく2人で眺めていたのだが、不意に源田が俯き呟いた。

「…俺も佐久間みたいになれたらな」

そしたら、ちゃんと、気持ちが伝えられるだろうに。

付け加えるように呟いた言葉は本当に蚊の鳴くような声で、洞面には届かない。
洞面はキョトンとして、佐久間と源田を交互に見る。

「……げんおーはあんな風になりたいの?」

洞面が指差した先を見る。
佐久間が抱きつこうとしたところを、鬼道が見事なハイキックを見舞い沈めているところだった。

「…………げんおーってマゾだったんだ…」
「い、いや!違う!!そういう意味じゃない!!」

軽蔑したような目で源田を見てくる洞面に、必死になって弁解する。
そんな、端から見ると仲良しな2人。
散々弁解で騒ぎ立てた結果、話の中心にいた鬼道が何事かと近寄ってくるのは、数分後の話。





「…源田先輩って、ヘタレなんですね」
「成神。お前今それ言ってみろ。源田マジで凹むから」


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