不平等な僕ら [鬼受け]


アクセス解析の見方がさっぱりですが、とにもかくにもこのような場所を
見に来てくださっている方がいるのが非常に有り難いです。
ありがとうございますー…!!


今回は佐久→→→鬼な源鬼。
佐久間キャラ崩壊注意です。まだ温い方な気もしますが(笑)
敬愛通り越して迷惑の領域に達している佐久間の愛が好きです(えぇ)





「鬼道さん!鬼道さん!!今日も相変わらず素敵ですね!好きです!」
「…………」
「今日の練習メニューはどうしましょうか?昨日と同じでいいですかね?
 あ、鬼道さん。好きです!!」
「……………」
「鬼道さん?聞こえてます?」
「……ああ、すまん。現実逃避をしていた。もう一度頼む」
「鬼道さん!好きです!」
「…いや、そこじゃなくてだな」

もはや「日常茶飯事」という言葉がぴったりなほどよく繰り広げられるやり取り。
周りは諦めているらしく佐久間がどれほどまでに暴走しようが止めようとする動きを見せない。
さすがに目に余るような状況の場合は、総出で阻止をするが、
今日のこのやり取りは「目に余る状況」ではないらしい。むしろ序の口だ。
巻き込まれたくないがために皆そちらを見ようともしない。なんとも薄情である。

「鬼道さん!鬼道さん!!」
「聞こえている!二回も呼ぶな!!」
「じゃあ鬼道さん!」
「……………………なんだ」
「好きです!!」
「……ああぁあああ…」

周りで遠巻きに見ている連中は痛くもかゆくもないだろうが、
さすがに当事者である鬼道にとっては良い迷惑である。
どこでなにをどう間違えてこんなことになってしまったのか。
嘆いてもそのきっかけがさっぱり掴めないので解決しようがない。
ゴーグルの奥で、必死で回りに助けを求めるように視線を送るが、
生憎そのゴーグルのせいで周りはそんな視線に気づかない。もしくは気づいても無視をしているありさま。
とうとう周りに助けを求めることを諦め、鬼道がついに実力行使にでようかと思い始めた最中。

「いい加減にしろ。佐久間」
「あだっ!!?」

佐久間の脳天に第三者によって真っすぐ手刀が振り下ろされる。
所謂「脳天チョップ」を見舞われた佐久間は、ふらつき、鬼道から僅かに距離を取るはめになった。
その間に、すかさず割り込むオレンジ色のユニフォーム。
GK専用の、それ。

「…源田…」
「毎日大変だな、鬼道」

心底助かったと言いたげに眉尻を下げる鬼道に、源田は苦笑を返す。
鬼道を背後に隠し、源田はこの状況の元凶を見やる。
元凶は、早くも源田の一撃から復活していた。

「源田手前ぇええええ!!」
「明らかにお前が悪いだろう。これは」
「俺は鬼道さんに対して全力で真っすぐ素直なだけなんだよ!」
「じゃあそれを3割まで抑えろ」
「常に全身全霊をかけるのが俺なんだよ!!」
「初めて聞いたぞそんなこと」
「口に出して言わず、心の中で常に考え……むぐっ!」
「一端黙れ」

理解しかねる佐久間の持論に反論を続ける源田だが、ついに実力行使にでた。
佐久間の口を押さえ込み、物理的に黙らせると背後にいる鬼道に向き直る。

「今のうちに皆に指示出して練習始めてろ。
 練習が始まったらさすがに佐久間もすこしは大人しくなるだろう」
「あ、ああ。わかった。…いつもすまないな…源田…」
「気にするな」

早く言ってこい。キャプテン。と促せば、鬼道は僅かに躊躇ったあと、皆の元に駆け出した。
鬼道の背中を眺めながら、さて、右手で押さえ込んだこの馬鹿をどうしようかと思案していると
鬼道が途中で足を止め、源田の方を再度見やった。
なんだろうと首を傾げていると、不意に、鬼道の表情が和らぐのが分かった。

「…ありがとう。源田」

声量がいかほどかは分からないが、ある程度距離があるため、微かに聞こえた声。
呟くとすぐに駆け出した鬼道を見て、きっと恥ずかしかったのだろうなと苦笑する。
そんな鬼道の後ろ姿を微笑ましく見ていたのだが、急に右手で押さえ込んでいたものが騒ぎだしたため、渋々視線を外した。

「…っは!あー!くそ!源田…手前…」
「なんだ?」

押さえつけられていた口元を抑えながら、佐久間は源田を睨みつける。
それにひるむ事なく、源田は涼しげに佐久間を振り返り見た。
その源田の余裕の表情をみて佐久間は僅かに顔をしかめ、口を尖らせる。

「なぁーんか…お前に協力してるみたいでむかつく」

まるで、自分が源田に良い格好をさせるための餌になった気分だ。
ボソリ、と拗ねたように呟いた声が、どうやら聞こえたらしい。
佐久間を後目に源田は自分のポジションであるゴール前に向かおうとした足を止め、
再び佐久間に視線を向ける。

振り返り、視線が交差すると、源田は不敵ににやりと笑った。

「………ッ!て、めぇぇえええ!!」

佐久間の怒号がフィールド内に響き渡る。
原因を知らないメンバーはただただ目を丸くするばかり。

激昂した佐久間が源田を追いかけ回し、更に練習開始が遅れてしまうことになるのは、また別の話。
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