君が嫌いと言った分だけあいしてあげる [土受け]

タイトルはユキツバキ(http://betty.jp/yuki_tsubaki/index.html)さんからお借りしました。
【マイラブリーガール!】より。ガール微塵も出ませんけど!!(爆)
つか、リンクの貼り方がいまいち分からない!

シリアスと見せかけてなんか甘い一土。そして短いです。
続きからどうぞー。





「嫌いだ」

一つ。

「…嫌いだ」

二つ。
お互いに顔も見ないで、ただただ一之瀬は土門の言葉を聞く。
反論もしない。何も言わない。
背中から伝わる相手のぬくもりと、浴びせられる拒絶の言葉だけをたよりに、
相手の存在を知る。

「一之瀬なんか、嫌いだ」

そう言われるような嘘をついた。という自覚はきちんとある。
自分の都合で死んだことにして、どれだけ皆は泣いてくれたのだろう。
余計な涙を流させた。余計な負担をかけた。否は、完全に自分にある。
だから何も言わず。ただ聞くだけ。
淡々と吐き出される同じ言葉は、一之瀬の胸の奥まで落ちて、溶けて、消える。

「…大嫌いだ」

ごそり。と後ろの背中が動く。
お互いに体操座りのままで、抱え込んだ両足の膝。それを支える腕が少し痛い。
どれくらいこの体勢なのかなんて、もう、よくわからなかった。

「大嫌いだよ…」
「うん」

一定のリズムで紡がれる言葉に、初めて相づちを打てば、相手の背中がピクリと揺れたのがわかった。
顕著な反応に、思わず笑みがこぼれる。
ああ、今俺は、嫌いだって、言われてるはずなのにな。

「嫌いだ」
「うん。ごめん」

でもね。

「俺は、土門の事、大好きだよ」

後ろを見ないで、天井を仰いで、笑顔で。はっきりと言ってやる。
しばらくの沈黙のあとに、後ろの方からしゃくりあげる声。

そこで初めて振り返ると、両膝に顔を埋めて、肩を震わせる君がいた。
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