Unbirthday! [土受け]


教育テレビつけたらやってたんです(笑)
一土はとにかくどこまでも仲がよければなんだっていいです。
ずっと二人で幸せでいてください。


続きから本文です。今回はほのぼのいちゃいちゃ(笑)
どう頑張っても土門が保護者になるので土一臭くなる…。
一土が、好きで す ! ! (え)





「土門。Happy unbirthday!」

唐突に肩を叩かれ、いきなり笑顔で言われた言葉。
振り返った途端一之瀬の満面の笑みが視界いっぱいに広がったため、思わず後ずさりする。

「…は?」
「いや、は?じゃなくて」

なんと言って良いものか分からず、首を傾げながら曖昧な言葉をこぼしてみる。
そんな土門の反応が不服だったのか、一之瀬は頬を膨らませて土門から離れる。
向かい合って座る体勢となった2人はしばらく黙ったまま互いを見る。
咎めるような一之瀬の視線が土門に突き刺さる、なんとも耐え難い状況だ。
その間の沈黙がどうにも痛々しく、耐えきれなくなった土門がついに口を開いた。

「…で、何?」
「だーかーらー!Happy unbirthday!」
「えーと…」

留学経験があるため、一之瀬の英語は随分流暢で。
そして同じく留学経験のある土門も、英語の成績はかなりいい方だ。
だが、これには困った。日本語でなんと言っていいのかいまいち計りかねる。
誕生日の、否定形。

「誕生日じゃない日?」
「うん。誕生日じゃない日おめでとう」

うっすらと頭に浮かんだ単語を呟けば、満面の笑みで再び日本語訳された文章が返って来た。
誕生日じゃない日おめでとうと言われても……。正直困る。
なにがおめでとうなのかまず分からないし、祝う必要性があるように思えない。
その言葉に土門が微妙な表情を浮かべていると、今度は一之瀬が首を傾げた。

「不思議の国のアリス、知らない?」
「いや、知ってるけど」
「ルイス=キャロルが作った造語なんだって。Unbirthday」
「へぇー」

この前見たテレビでやってた。と得意げに語る一之瀬に思わず苦笑する。
要するにテレビの受け売りか。
もともと好奇心旺盛な性格だから、新しく知識を仕入れて嬉しいのだろう。
土門はテレビで見たという情報を身振り手振りで話す一之瀬の言葉を
相づちを打ちながら聞いてやる。

「イカレ帽子屋の台詞なんだってさ。
 『誕生日以外の日』にパーティを開いたら、364日もパーティを開けるだろ?」
「ほぼ一年中パーティだな」
「うん。だからさ、この台詞、俺凄い好きなんだ」

ニコニコしながら語る一之瀬は本当に楽しそうで。
まあ、確かに一年中パーティなら毎日たのしいことこの上ないだろう。
だったら誕生日はどうするのか。と聞けば
誕生日は誕生日おめでとう。で、また別のパーティだよ。と返って来た。
まあ、それもそうか。

「じゃあ、一年中パーティだ」
「ああ!きっと楽しいよ!」
「主催者側は大変だろうけどなぁ」
「そういうことは考えないんだよ!妙なところでリアリストだなぁ。土門は」

楽しい事は多い方が良いじゃないか。俺はこれから先は毎日楽しい日にしたいんだ。
そう呟いた一之瀬の笑顔にふっと、影が差す。
どうした?と聞いても取り繕ってなんでもないと笑顔を返してくるだけ。
そんな一之瀬の反応と言葉の奥に何かを見つけた気がして、苦笑する。
ああ、いつの間に自分はこんなに聡くなったのだろうか。

「ま、楽しい方がいいよな」
「だろ!?」

悲しい思いは、もう一生分した気がするから。
だったら毎日楽しい方が良い。毎日笑っていた方が良い。
これから先は楽しい事ばかりだと考えて、生きて行きたい。
その方が、きっとずっと楽しい。

「土門。土門も一緒にお祝いしようよ」
「そーだなぁ」

身を乗り出してはしゃぐ一之瀬に、一瞬思案するように視線をよそへやる。
再び一之瀬の方に視線を戻したら、やっぱり一之瀬は楽しそうに笑っていた。

「一之瀬がそれを楽しいって思うなら、一緒に祝ってやるよ」

そう、笑顔で言ってやれば、何とも間抜けな顔をされた。
大きな瞳を瞬かせたまま固まる一之瀬を、しばらくどうしたのかと見つめていたら、
スロー再生されたビデオを見ているかのように、じわじわと一之瀬の表情が笑顔に変わっていく。

「土門っ!!」
「うわっ!」

顔ばかり見つめていると何の前触れもなく抱きつかれる。
その勢いに負けて思わず背中から後ろへ倒れ込み、思いっきり背中を床に打ち付けた。
かまわず抱きつく一之瀬に抗議をする前に、再び「土門!」と叫ばれる。

「Happy unbirthday!!」

目の前には、本当に楽しそうな、一之瀬の笑顔。
思わず、抗議する言葉を飲み込んでしまう。
この笑顔を見るだけでまあ、いいか。などと思ってしまう自分は、
想像以上にこの男に甘いらしい。

「…Happy unbirthday」

苦笑まじりに返してやれば、本当に幸せそうな顔をして、力一杯抱きしめられた。
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