欠壊 [エイリア]


拍手叩いてくださった方ありがとうございます!頑張ります!うす!


今回はUSBから発掘したパーベル。4とか番号振られてたから多分かなり古いんじゃないかしら…。
まさかの今更カオス結成時話です。でも案外美味しいよね。ここらへん。
つーかいい加減3期のいろんな柵から解放されたエイリア勢を思う存分書きたいけど
半分以上本名出てないから思うように動けないんですよね。早く本名!本名!!
ベルガとかなんかいまいち予測できないけどデザーム様が「砂木沼治」とかほとんど名前と被ってないからなんか名前から予測もできないんだろうなと。
ゲーム出るまで正座待機ですね。ダイヤ引き抜けるようになったらストーリーそっちのけで行くし…。

まあ、それはともかく(笑)続きからどうぞー。結構シリアス。















大体、ネッパーは強気で勝ち気だ。
自分の力には自信を持っていて、いつも余裕ありげににやりと笑う。
そんな彼を見慣れたベルガとしては、さて、今の状況をどう扱っていいものなのか頭を悩ませていた。
つい数時間前が事の発端だ。
練習もなく、ベルガがぼうっとしているときにいきなりネッパーがやってきた。
そちらに視線をやれば、彼はカオスのユニフォームを身に着けており、おそらく今からカオスの全体練習なのだろうということまでは予測がついた。
だが、練習があるはずの彼が今ここにいることはおかしい。
そう思い、どうしたのかと口を開こうとする前に、押し倒されんばかりの勢いでネッパーに抱きつかれた。
体格差のおかげか否か、寸でのところで倒れず踏み止まったベルガは、何事かと慌て始める。
そんなベルガの心境をよそに、ネッパーは無言でベルガを力一杯抱きしめる。
身長差があるので、端から見るとネッパーがベルガの胸元に顔を埋めているようにしか見えないのだが、そんなこと当の本人はおかまい無しだ。
それ以降、ベルガが呼びかけてもネッパーは一切返事をせず、ベルガはネッパーに捕獲されたまま、早くも小一時間経過しようとしていた。


(…いい加減、腰が痛い)


最初に思った事はそれだった。
誰かに言えば、まず言う事はそれではないだろうと突っ込まれるだろうが、本人は大真面目である。
同じ体勢のまま、ずっと同じ部分に力を加え続けられれば痛くもなるだろう。
だが、目の前の彼を無理矢理引きはがそうという考えもベルガの中には一切わいてこなかった。
何故だか、妙に弱々しく感じたのだ。
抱きしめる力は今までで一番強い気がしたのだが、精神的な何かが弱っているような気がして。
だからこそ、この状況を今まで許容しつづけてきたのだ。
ベルガは困ったようにため息を吐く。
それに反応するように、ネッパーが更に腕の力を強めるのを感じた。

「ネッパー」
「……………」
「…ネッパー」
「……………」
「私は、お前が思うほど察しがよくない」
「……」

言ってもらわないと、何もわからない。
そう続ければ、背中に回されていた手が、ベルガのユニフォームをぎゅっと握った。
やっと返って来た反応らしい反応に、ベルガは思わず苦笑する。

「…何があったんだ」

尋ねれば、無言が返ってくる。
これ以上だんまりを続けられるとさすがにお手上げだ。
しばらく無言が続き、ベルガが何度目かになるため息をついた。



「アンタが、選ばれればよかった」



やっとのことで、僅かに漏れた言葉にベルガが首をかしげる。
それは、どういう意味なのか。
おそらくカオス選抜の話だろうが、選ばれたのは彼の所属チームのゴールキーパーだ。
正ゴールキーパーが決まってしまえば、もうベルガに希望はない。
だが、それでも自分たちのチームの強さを知らしめることができれば良いと割り切ることにした。
だが、ベルガの中では割り切れていたとしても、どうやら目の前の彼は割り切る事が出来なかったらしい。
僅かにあげられた顔は、ベルガからは伺い知れない。

「選ばれたのはお前のチームのキーパーだろう。喜ぶべきだ」
「違ぇよ」
「なにがだ?」
「俺が言いたい事はそう言うことじゃねぇ」

いまいち要領を得ないネッパーの台詞に、ベルガは首を傾げる。
そういうことでなければどういうことだ。
問おうとしたベルガの口が開くよりも先に、今度はネッパーが口を開いた。

「…悔しくねーのかよ」

言われた言葉に、ベルガは思わず口を噤んだ。
ようやく、ベルガの方に向けられた顔は、予想以上に真剣そのもので。
暗い、底のない瞳が、一心不乱にベルガを見つめていた。

「………悔しくは、ない」
「嘘付け」
「…それ以外に、どうしろというんだ」

ネッパーの言葉は、確実に的を射ていた。
悔しくない訳がない。グレントが正ゴールキーパーに選ばれたと知った時、自分がどれほど打ちのめされたか。
自分はそれほどまでに力不足だったのか。と。
だが、そこでみっともなく抗議することは出来なかったし、するつもりもなかった。
選ばれなかったのは、自分の責任だ。自分の力が彼に及ばなかっただけだ。
ならば、納得するしかない。納得せざるを得ない。

「…もっと、食ってかかりゃあよかったんだ」
「それは無理だ」
「どうして」
「これは、私と、お前のチームの死活問題だ。一個人の希望で、どうこうなる問題じゃないんだ」
「……」
「私よりグレントの方が優れていた。それだけだ」

諭すように、どこか諦めたように呟く。
ベルガの言葉に、ネッパーは更に強く、ベルガのユニフォームを握りしめた。

「…アンタ、いつもそうだ」
「?」
「なんで、そんなに冷めてんだよ。なんでそんなに冷静でいられんだよ。諦められんだよ!」
「ネッパー…」
「俺はアンタと一緒にプレーしたかったッ!!」

吠えるように叫ばれた言葉に、ベルガは思わず驚く。
多分、これがネッパーの本音だ。直感的にそう思った。
敵対する2チームに所属する自分たちが、同じフィールドでプレーするとしたらそれは敵としてしかない。
だからこそ、この2チームで混合チームを作ると知った時は驚いた。
そして、同時に2人が味方として、一緒にプレーできる機会はこの時しかない。とも思った。
だが、結果は理想とはかけ離れていて。
ネッパーは選抜、ベルガは選抜漏れという結果に終わった。
それが、ネッパーにとっては一番ショックだったのかもしれない。
再び俯いてしまったネッパーを見ながら、ベルガは何も言えなかった。
悔しくない訳がなかった。けれども、この悔しさを、他のメンバーに見せてはならないと思った。
それは、いらぬ心配を招くから。それに、自分だけではないのだ。選抜から漏れた者は。
だからこそ、悔しくない風を装うしかなかった。
割り切ったはずの悔しさが、ネッパーの我が儘な言葉で再度こみ上げてくる。
自分は、彼ほどストレートに自分の思う事を遠慮なく言えないのだ。
悔しくない、訳がない。悔しくない、はずがない。本当は。本当は、

「…………」
「…なんか、言えよ」

今度はベルガが黙り込んでしまった。
長い長い沈黙に、今度はネッパーが眉根に皺を寄せる。

「…オイ…何とか…」
「…頼む」

耐えきれなくなったネッパーが、口を開いた途端に聞こえた弱々しい声。
同時に、ネッパーの背中に回された腕が、すがるようにユニフォームを握りしめた。
あ。と、思わず声を上げる。やってしまったのか。と。

「………アンタ」
「頼む…」
「…………」
「頼むから、何も、言わないでくれ」

ベルガは自分よりも周りを大切にする性格だ。
今回の件で、彼が自分を抑えてどれだけ周りを大切にしたか。それはネッパーには計り知れない。
だからこそ、ネッパーは黙り込んだ。
自分が言った、自分勝手な主張が、彼の押さえ込んでいたものを露見した。
分かっていたのに。悔しくないわけがない事くらい。彼も、自分と同じように思っていてくれた事くらい。
だけれど、それを表に出さないベルガに苛立っていたのも事実だ。
自分を抑えすぎる彼を、許せなかった部分があったのは、事実だ。

「…全部、溜め込んでんじゃねーよ」
「…………」

返事は返ってこない。
そっと触れた背中が、不規則に上下する。それはしゃくり上げるその動作に、似ていた。
それで、やっと、理解する。

「…アンタでも、泣くんだな」

分かりにくいんだよ。と苦笑まじりに呟けば、今度はベルガが無言でネッパーを抱きしめる腕に力を込める。
最初と、まるで逆だ。

「俺、アンタが何でも1人で溜め込むからいつか全部吐き出せば良いとか思ってたんだけどよ」

無言でしゃくり上げる弱々しい背中を、そっと撫でる。
そう思っていても、生憎自分は優しい慰めの言葉をあまり持ち合わせていない。
こうなってしまうと逆に困ってしまっている自分に気づく。
ああ、情けない。



「…やっぱ、アンタ、笑ってた方がいいわ」



ぽつりと呟いた言葉が、ベルガに届いたかは分からない。
だが、言った言葉とは裏腹に、しゃくり上げる彼を止めようとはしなかった。
慰める事は出来ないかもしれないが、今だけは、彼に泣いていてほしかった。


**************************************
本当は死ぬほど悔しかったけど文句言えなかったとかな。
ネッパーが思ってる以上に悔しがってると良いと思って書いたんだと思います。
「見た目はクール、ハートはホット」ってのが出したかった。
見た目淡白だけどサッカーに対しては誰よりも真摯とか、ね!何言いたいか分からなくなって来た!


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