旅立つ君の背を [その他]


拍手叩いてくださった方ありがとうございます…!いつもいつも励みになります!



今回久しぶりになりましたが鉈幽です!
ネタ的には77話終了後。古くならないようにと早めに…(笑)
勢いだけで書いたんで結構支離滅裂で短い話になりましたが…
いいぜ!って方は続きからどうぞー^^










すみませんごめんなさい。
まけました。まけてしまいました。

いっしょうけんめいがんばりはしたんです。
ぜんりょくもだしたつもりだったんですがなにもできなくて。

きゃぷてんにめいわくをかけたかもしれません。
わたしがもっとつよくなれていたらよかったのかもしれません。

すみません。ごめんなさい。
たくさん、たくさんおうえんしてもらったのに。


そう、弱々しく呟き続ける彼を見る。
赤い目玉がぎょろつくバンダナはいつもとなにも変わりはしないのに。
その奥にある瞳からは涙が止まらないらしく、頬は涙で濡れていた。

すみません。ごめんなさい。

そう、呟き続ける彼に大丈夫だ。お前は頑張ったと、言葉をかけてやって、頭を撫でてやる。
それだけしか出来ない自分が歯がゆくて、鉈は思わず仮面の奥で歯噛みした。



せっかくだいひょうになれるちゃんすだったのに。

大丈夫だ。まだチャンスはある。ネオジャパンは解散した訳じゃないんだろう。

ですけど、おかるとのみんなをおいていってまで、がんばったのに。

俺たちも全部理解してお前を送り出したんだ。
それに皆喜んでたぞ。ウチから代表になれる実力のある選手が出たって。

でも、そのきたいをうらぎったんです。

皆は裏切られたと思っていない。

でも、でも

大丈夫だ。だから泣くな。…頼むから、泣くな。


懇願するように、願うように、鉈は幽谷の頭を抱き寄せた。
まだ一年だ。彼は、このチームの中で最年少なのだ。
その歳でキャプテンとしてこの癖のあるやつばかりが集まったチームをまとめるだけでも十分なのに。
彼は代表になりそこねたと言って、泣く。
皆の期待にこたえられなかったと言って泣くのだ。
彼が努力している事は十分分かっているのに。なのに。


自分はなんで、ここから踏み出せないのだろう。


できることならずっとそばにいてやりたかった。
ただでさえ、日本の期待を背負った日本代表に喧嘩を売りに行くような話。
そこに、彼1人をウチのチームから送り出した事が、不安でなかったと言えば嘘になる。
だが、自分はその話さえ持ちかけられていない。
彼の横に立てない。前に立って、引っ張ってやることもできない。
彼は、自分より、上に、行ってしまった。
だから、こうして、中間地点で突っ立って、疲れて引き返してきた彼を待つしかないのだ。
彼はどんどん先へ行くから。
だったら、せめて、苦しい事や辛い事、全部を吐き出せる場所になりたいと。


幽谷。泣くな。
頼むから、もう、泣かないでくれ。


なのに、自分は、彼の涙を止める方法さえ知らないのだ。

泣きじゃくる幽谷の頭を、しっかりと撫でてやりながら、
仮面の奥で鉈もまた、自分の涙を止める方法を思い出せないでいた。




**********************************
負けて、笑っていられるほどまだ強くない。
先へ行く幽谷の背を押してやりたいけど引き留めもしたい鉈先輩。

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