もしもの話をしよう【表】 [エイリア]


拍手叩いてくださった方ありがとうございます!!励みになります^^*


今日はパーベル。最近供給が少ないせいか妄想が絶不調です(爆)
【表】ということは【裏】もあるわけで。それはまた後日(笑)
あ、でも裏と言ってもR指定的な裏じゃないですよ。


読んでやるぜ!と言う方は続きからどうぞー^^










彼には、執着心というものがまるでない。

自分が他の連中とつるんでいても、女と話していても、連絡を一切取らなくても会いにいかなくても、彼は一切気にしない。
後者二つは、辛抱ならなくなって自分から会いに行ってしまうのがオチだ。
だが、そんなときでも「なんだか久しぶりだな」程度で終わってしまう。
案外ドライなんだな。と言えば、首を傾げられたのも良い思い出だ。
嫉妬や独占欲という言葉が、彼の辞書には存在しないのではないだろうか。
そう思うほどには、彼は自分の周りへの接触について、口を出さなかった。




「…例えばの話をしよう」
「……いきなりだな」

休憩室のような所に設置されている長椅子に、二人で背中合わせに腰掛けていたときに、突然ネッパーがそんなことを言い始める。
思わず何事かとネッパーの方を振り返ると、同じく振り返っていたネッパーがにやりと笑った。
ああ、何を企んでいるのだろう。

「どうせ暇なんだろ。つき合えよ」
「もうすでにつき合っているだろう」
「まあ、そうなんだけどよ」

休憩中に二人でこうしているだけでも十分に暇を潰すためにつき合っているも同然だろう。
細かい事を言うな。と言わんばかりにベルガの背中に更に体重を預けながら、ネッパーは人差し指を突き出した。

「一つ。もし俺がヒートとかとばっか話し込んでアンタに構わなかったら」
「ヒートと話しているのはいつもだろう。話し相手が多いのはいいことだ」

体重をかけてくるネッパーを咎める事なく、僅かに前のめりになりながらあっさりと答えるベルガ。
僅かに沈黙が流れた後、改めてネッパーが人差し指と中指を突き出す。

「二つ。もし俺が珍しくレアンと仲良さそうに話してたら」
「仲良くやれてるならいいじゃないか。むしろ普段からそうした方が良い。別に嫌いな訳でもないんだろう?」

僅かな沈黙の後、何故かネッパーが更に体重をかけてくる。
さすがに焦ったらしいベルガが膝に手をつき僅かに抗って均衡を保った。
再び、ネッパーは今までの指に加え、薬指も同じく突き出す。

「三つ。もし俺がアンタに一切会いにこなくなったら」
「病気か何かだったらまあ、心配するが…何か事情があるんだろう。私がとやかく言える事ではない」

今度は沈黙も何も挟まないまま、遠慮なくぐいぐいと体重をかけられる。
もはやネッパーは座っておらず、ベルガの上に乗っている状態になり、ベルガも懸命に腕で2人分の体重を支えようとする。

「四つ」
「ね、ネッパー…」
「なんだよ」
「お前はこんなに重くないだろう…わざとか…」
「どうだろうなぁ」

実際人一人を背負うことなどベルガにとっては雑作もないことなのだ。
だが、今この現状はどうにも耐え切れそうにない。
それもそのはずで、ネッパーは完全に腰を浮かせ、足で踏ん張りながら全体重以上の重力をベルガにかけている状態だ。
嫌がらせ以外の何者でもないというこの状況で、あくまでしらを切るネッパー。
ベルガも体重を支える手が限界を訴えるように震えていた。

「ネッパー…」
「…あいよ」

ベルガの声がだんだんと必死さを帯びて来たので渋々ネッパーは彼の背中から降りてやる事にした。
途端にがっくりとうなだれ、ちらりと向けられた顔はどこか恨めしそうだった。
その表情に、何が楽しいのかネッパーはニヤニヤと笑う。

「ま、その顔で御破算だな」
「………悪趣味…」

はぁ、と一回息を整え、やはり恨みがましくネッパーの方を見やるベルガ。

「…ところで、何が御破算なんだ」
「ああ」

ネッパーの言葉に疑問を感じたベルガが、素直に問えばネッパーは少し沈黙を挟んだ。
もともとベルガの嫉妬を煽ろうとして行っていた無駄話だったのだが、まったく本来の目的が果たせていない。
それどころか今の自分の欠点まで指摘されたような気がしてむしろなんだかこちらが空しくなって来た。

「アンタさ、俺が他の奴らと仲良さげにしてても何も思わない訳?」
「? なんでだ?それはいいことだろう」
「…そうじゃねーよ」
「?」

軽くうなだれながら、愚痴をこぼすように話すネッパーの言葉に、ベルガは首を傾げるばかりだ。
駄目だ。完全に自分が何を言いたいのかが伝わっていない。
現状を一切理解していないベルガに痺れを切らせ、ネッパーは勢いよく体ごと振り返る。



「アンタ、少しは嫉妬とかしろよ」



自分がどれだけ他の連中と話し込んでも、そのせいで彼に会いに行かなくなっても、
次に顔を合わせたときには常に笑っている。
何してたんだとか、そう言った事を一切言及する事なく、今までどおりに笑顔で。
それがネッパーにとっては物足りなくもあり、安心できる一つの要素だった。
本人に直接言った事のない考えをこぼすと、当の本人はぽかんとしているだけ。
まだ分からないのかといい加減怒鳴ってやろうかと思った時だった。



「嫉妬する要素が、どこかにあったか?」



静止。
ベルガの言っている事の意味が分からず、今度はネッパーが首を傾げた。
おそらく先ほどのネッパーの「例えばの話」の内容を指しているのだろう。
自分にとっては嫉妬する要素しか入っていない内容だ。
なのに、目の前の男はその要素が見つからずに首を傾げていたのだ。
もはや、どこから突っ込んでいいのかわからなかった。

「いや、あっただろ。満遍なく」
「誰かと話したり会えなかったりは普通に生活する上では当たり前に起こることだろう」
「だけどよ、」
「それに、」




「結局、最後には私のところに来てくれるのがお前だろう?」





さも、当たり前のように。
疑う要素など欠片もないと言わんばかりに。
微笑みながら言われたその言葉に、ネッパーはあっけにとられた。

「臍を曲げてどこかに行ってもしばらくすれば戻ってくるだろう?
 私はお前をそう言う奴だと思っているんだが、違っただろうか」

誤解していたなら謝ろう。などと、真面目に言うベルガをただただ見つめる。
ようやくの事で彼の思考を読み取ったネッパーは、再びベルガの背に体重を預けて大きくため息を一つ吐く。


「…愛されてんなぁ。俺」


そんなことを呟くのが、精一杯だった。












「けどよヒート。彼女に嫉妬されるのは男のロマンだと思うんだけどよぉ」
「俺じゃなくて本人に言いなよ。ってか彼『女』じゃないよね。男だよね」



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嫉妬話が書きたかったんです。でもベルガに嫉妬とか似合わなさすぎた^q^

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