厚さ3mmの世界 [エイリア]


パーベル。学パロでもなんでもないパーベルって久々な気が(笑)
キスまでいってるから駄目な人は注意してくださいね!!
と、言っても私がそう言う表現を自分で書くのがすこぶる苦手なんで身構えるほどの物でもないですが!!
…色気もへったくれもない文がウチでございます…^^;



そんなわけで大丈夫って方は続きから(笑)








俺たちを隔てているのは、
ダイヤモンドダストか、プロミネンスか、それだけだ。


言葉にしてみれば何とも簡単な話である。
しかし、現実として見据えてみると案外深刻な問題で。
ジェネシスの座をかけて、ガイアも合わせた3チームで争っているうちはまだ均衡が保てていた。
だが、ジェネシスの座がガイアに渡されることとなり、その均衡は崩れた。
最強クラスのチームが決定する事により、1位の座はもうすでにない。
一つ負けてしまうと、もう二度と負けたくないと思うのが人の常。
それが、残る2つの間で争われるとなると、今まで以上に相手チームを敵視し、見下すようになる。
自分たちのチームこそが相手より強いと。そう、より強く思うようになる。
そうしなければ、一番になれなかった自分たちがみじめだからだ。きっとそうに違いない。
そのため、ダイヤモンドダストとプロミネンスの間の亀裂は絶対的なものとなった。


だからこそ、おそらく、自分たちの間にあるの壁は、そんな意地とプライドだけなのだろう。






「そんなこというなら、こだわらずにさっさと告白すれば良いのに」
「………うるせぇー」

ネッパーの独白を無言で聞いていたかと思えば、最初に言った事がそれ。
ヒートの正論に、ネッパーは思わず肩を落とした。
そんなことが言えるということは、それがおかしなことだと理解しているという事だろう。
わかっているなら、さっさとそんなもの取っ払って告白してしまえば良いのだ。というのがヒートの考え。
確かに、間違ってはいない。だからこそ、ネッパーは言葉に詰まった。
結局,自分自身もそんな意地とプライドでガチガチなのだろう。

「分かってんだよ……けどよ、それはお互い様っつーか」
「面倒臭いなぁ」
「うるせーな。俺だってもどかしいんだよ」

多分、あちらも自分に好意はある。……予測にはすぎないのだが。
だからこそ、余計にもどかしい。
近いのに遠い。一定以上近づけない。

「ロミオとジュリエットみたいな?」
「…そんな綺麗なもんじゃねーだろ。つーか最後死ぬし。ソレ」
「じゃあウエストサイド物語」
「ほぼ同じだろ」

敵対した2つの勢力のもの同士が恋に落ちてなんとやら。
いい表現だとは思うが、ネッパーは一笑にふしてやりすごす。
そんな、文学のような話ではないのだ。
この亀裂は単なる意地の張り合い。
一位の座がないからと、その選抜からあぶれたものたちが自分への慰みにと己より下の者を見つけようとしているだけだ。
格好良くも何もない。単なるプライドの格好悪い守り方。
そしてそれに集団心理が働いて、周りに流されるように賛同してみる。
心の奥底ではそんなもの、どうでもいいと思っているはずなのに。

「なんか、ネッパーがそんなにダイヤモンドダストがどうのとか、
 プロミネンスがどうとか、固執してるとは思わなかったなぁ」
「一度そう思い込んだら抜けるのは難しいもんなんだよ」
「そうなのかなぁ。惚れた腫れたにそういうのは関係ないと思うんだけど」

平和主義者はのんきそうに首を傾げる。
自分だって、この亀裂さえ埋まってくれれば、そうやってのんきでいられるのに。











「あ」
「あ」

ヒートとの話に出口が見つからなくて、部屋を飛び出して当てもなくふらついていたときだった。
考えがぐちゃぐちゃしてるときに限って、出会うものだ。
人生とは常に偶然で成り立っているものなのだろう。今ならそう思える。

「よお」
「何をしている?」

口を開いたら、意外に淡白な言葉が飛び出した。
ああ、やはり溝は埋まらないか。などと目の前の無表情を貫く顔を見やる。
表情なんて欠片も読めない。それが更に冷たさを上乗せしているように感じた。

「………ここは、ダイヤモンドダストの共有部屋の前、だが」

言葉の前の逡巡の意味は、ネッパーには図りかねた。
だが、僅かに反らされたように感じた視線に、何となくだが意図を読み取る。
予想は予想の範疇から抜け出さないが、あえてネッパーは口を開いた。

「ダイヤモンドダストだプロミネンスだ、馬鹿みてぇだよな」

ピクリ。とベルガが僅かに反応する。
ああ、なんだ。図星か。そう思うと共に、ヒートの言葉が頭をよぎった。


『面倒臭いなぁ』


『惚れた腫れたに、そういうのは関係ないと思うんだけどなぁ』



…まったく、その通りだ。
なんと、面倒臭いことか。



「……何を…」
「アンタも正直そう思ってんだろ?」
「………………」
「図星だろ」

押し黙るベルガを見て、ネッパーも確信した。
彼も、チームが違うからと言って、各チームのメンバー同士でいがみ合う必要はないと思っている。
ダイヤモンドダストだろうがプロミネンスだろうが、気が合う奴は気が合うし、嫌いな奴は嫌いなのだ。
それでいいのに、妙な概念が邪魔をする。
『自分たちはあいつらとは違うから、あいつらより強いから、同列に見られたくない。あちらは見下すべき存在だ』
そんな考え、一体いつから生まれたのだか。
そんな、いらない余計な考え。
それが壁になり、溝になり、気がつけばまっぷたつになっていた。
元をたどれば、全員宇宙も何も関係ない、『カワイソウな』子供なのに。

「…私は…」
「何だよ?」
「…………っ」

躊躇うように視線を彷徨わせる。
きっと困っているのだろう。ネッパーの言う事は確かに図星だが、
かといってそれに素直に頷く事ができないのだろう。
それこそ、自分たちが今まで丹念に築き上げてきた壁のせいだ。
ああ、面倒臭い。面倒臭い。

「…しかし、だな」
「しかしもかかしもあるかよ」
「だが…」


ああ、面倒臭い。面倒臭い。


「……ネッ…」
「うるせぇな」


面倒臭ぇ。




まだ、何かを渋り、何かを頑に拒むベルガ。
ネッパーは気が長い方ではない。
何の前触れもなく、ベルガのユニフォームの襟首を引っ張ると、
何か抗議しようとするベルガの口に、噛み付くように口づける。
好きだとかなんだとか、そんなこと一言も言っちゃいない。
言っちゃいないが、とにかく何かを本心でもないくせに否定しようとする彼を、黙らせたかった。
ただ、それだけ。
いきなりの口づけに、驚いたのかベルガの体がこわばる。
だがそれも最初だけで、徐々に力が抜けてゆき、
軽く、ユニフォームの裾を掴まれた時、ネッパーは思わず笑みをこぼす。




なんだ。






全員で築き上げた高い壁は、指先一本で崩壊するようなものだったのか。






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アニメでは人一倍固執してましたけど(笑)
ネッパーはドライな考え方ばっかりしてるんじゃないかなぁ。とか思ってる結果がこれだよ!!

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