答え合わせ [エイリア]


久々にネパリオ。
最近小説書く時間を全部絵を描く時間につぎ込んでます…。
私、一応文字書きじゃなくて絵描きのつもりなんだ…ぜ…!


まあ、そんなことはともかく(爆)
拍手無言の方ありがとうございます!!その一叩きが活力です!!



そんなわけで続きからどうぞー。








滅多に泣かないそいつが泣いている時、俺は毎回ほとほと困り果てていた。
小さいガキをあやした事もなければ慰めるなんて高尚なこともした事がない。
だから隣でわんわん声を上げて泣き続けるそいつを見て、
とりあえず泣いてんじゃねぇと頭を叩いてやると、そいつはよりいっそう声を大にして泣きわめくのだ。
そんな結果に、俺がいよいよ困りきった時、大体そいつの女友達がやって来て、
泣かせた泣かせたと俺を責め立て殴り合いの喧嘩になる。というのが常だった。
なにせあのときの俺は泣いている奴相手に何をどうしたらいいかなどという知識を持ち合わせておらず、
まるで解き方の知らない方程式にでたらめに答えを書くように、何の考えもなしに動いていた。
もう少し大人になれば女の1人や二人泣き止ませることくらい容易くなるだろう。などと安直にものを考えたが、
時が解決したりしてくれることも、たまにはなかったりするわけで。


だから、俺が今、昔のようにしゃくり上げて泣いているそいつを横にして、
なにも出来ずにいるのは、俺が大人になれていないからなのだろうか。
それは当の本人である俺にも皆目見当もつかない質問だった。





たまたま見つけてしまったときに見つけるんじゃなかったと後悔したのは秘密にするべきだろう。
廊下の片隅でぐずぐず言っている彼女の横に、何気なく近寄って声をかければ、
最初はちらりとこちらを見るだけで、後はなにも反応が返ってこなかった。
思えば、そのときに放っておけば俺はここまで困っていなかったのかもしれない。

「何泣いてんだよ」
「………泣いてないわよ」
「嘘吐け。泣いてんじゃねーか」
「…そんなの、見えてないくせに」

いつからつけ始めたのか。彼女の顔は仮面で一切見えない。
端から見れば仮面の女が力なくうなだれているだけに見えるが、
しゃくり上げる声と、たまに聞こえる嗚咽と、それに合わせて上下する肩が嫌でも彼女が泣いている事を物語っている。
ああ、嫌だ。どうして俺は人の感情の機微に気づいてしまったのだろう。
そう思っているくせに、その場から立ち去ろうとしないのは。何故だろう。


「…面倒臭いのに会ったと思ったでしょう?」


驚いた。彼女はエスパーか何かだろうか。
否定も肯定もせずに彼女を見下ろしていると、彼女は拗ねたように「やっぱり」とだけこぼした。
何がやっぱりだ。そんなこと言えるほど俺の事を良く知っている訳でもないだろう。
そう頭の中で悪態をつくが、実際心情を言い当てられているので口には出さない。

「別に俺がどこで何してようが関係ねーだろ」
「関係ないから、どこへでも行けば良いのに。慰めるなんて優しい事、昔からできないくせに」

どこかに行けば良いのに。私なんか放っておいて。と付け足されれば、何故だか意地が出て、てこでも動くまいと思ってしまう。
確かに俺に慰める等という優しいことが出来る訳がない。
だが、ここでどこかにいってしまうと彼女に言い負けた気がしてならないので、動かないと決めた。
我ながらガキ臭いと思う。
そのまま、二人とも何も話さないでどれくらいの時間が経っただろうか。
俺の体内時計は正確でもなんでもないので、あまり当てにはならないだろうが数分は経った気がする。
それでもなお、泣きじゃくる彼女に何があったかなんて知る由もないし知りたくもない。知ろうとも思わない。
だが、彼女の横にいるという無意味なことだけは止めるつもりになれなくて。宙を仰いであくびをひとつした。
暇なら帰れば良いのにな。俺。



「オイ」



どうしようもなく暇になったので、思わず横で泣く彼女に声をかける。
返事は返ってこない。返ってくるのは嗚咽だけだった。



「なあ」



嗚咽だけ。嗚咽だけが聞こえる。



「何があったかとか知らねーけど泣いてんじゃねーよ」



嗚咽。嗚咽。しゃくり上げる。



「泣いてんなよ」



どうして良いかなど今でも分からないし分かろうと思った事もない。
ただ、昔のように泣き止めと言ってひっぱたく。というのが不正解である事はこの数年で理解したつもりだ。
かといって正しい答えが見つかったのかと聞かれれば、それもまた謎である。
だが、不正解と分かっているものを、そのまま採点者に叩き付けるほど俺は馬鹿ではないはずで。






「…泣くなよ」





だから躊躇いがちにそっと伸ばした手で、うずくまる彼女の頭に触れてやる。
これが正解だとかそうでないとか。そんなことはわからないけれど。
仮面の奥からか細い声で「やれば、できるじゃない」と呟かれたのを聞いて。
ああ、これが正解だったのか。と何故だか妙に誇らしげになった。




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一部で「リオーネは仮面ではなくフェイスペイントだ」という話を小耳に挟んだんですけど…。
え、仮面…だよね…?あれ…?

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