いつまでも笑っていられますように [エイリア]


円デザ…!
逆が案外あるのは知ってるんですけど、ね!
でも私が円堂さんをサンクチュアリ視しすぎて円+デザに見えなくもなくなった^q^
この二人はカプじゃなくてただ楽しそうにボール追いかけてるの見れるだけでも幸せになれる自信があるよ。


そんな感じで続きから!
やっぱり俺ブンで雷門にデザーム様編入してます。









ぽんと投げられたボールを反射でキャッチする。
何事かとボールが放られた方を見れば、そこには満面の笑みを浮かべたキャプテンの姿。

「…円堂守…」
「デザーム!練習つき合ってくれよ!!」
「私は構わないが…」

ちら、とグラウンド上を見ればいつも通りの面子がそろっている。
本来ならば彼は豪炎寺や吹雪らとともに練習をするはずだ。
はて、と思い首を傾げると、円堂がいいから!と力強くデザームの背を叩いた。

「俺、お前のグングニルを止められるようになりたいんだよ!!」

に、と笑う円堂の表情に、惚けた風だったデザームだったが、
ようやく彼の言葉を理解したところで自らも笑みを浮かべる。
燃えるような勝負は、好きだ。

「…おもしろい」

そう呟けば、満足そうに円堂は微笑んだ。









「あー!くっそ!!」
「6勝4敗…私の方がまだ上のようだな」
「最後のは止められると思ったんだけどなぁ…」

悔しそうにその場に倒れ込む円堂を覗き込むようにデザームは歩み寄る。
あれから練習とは名ばかりの一対一の真剣勝負をしていたのだが、
未だに円堂はデザームのグングニルを完璧に止めるまでに至っていないらしい。
円堂が声を上げたときには夕暮れ時になっており、グラウンドには2人以外誰もいなかった。

「なかなか楽しかったぞ。円堂守」
「次は、止める!!」
「いつでも相手になろう」

円堂を覗き込み、ふと笑えばにっと笑みを返され拳を突き出される。
彼の「サッカーを楽しもうとする心」に引かれて雷門へ編入した。
編入して以来、確実に「楽しむためのサッカー」をものにしてきたデザームは、
最近では本当に柔らかく笑うようになった。と誰かが言っていたのを思い出す。
円堂はデザームの表情を眺めながら、もう一度笑うと勢いをつけて立ち上がる。
そこでようやく、周りにデザーム以外誰もいない事に気がついた。

「あれ?もう皆帰っちゃったのか?」
「先刻、最後まで残っていた木野が帰ったところだ」

気づかなかったのか。と問えば、円堂は誤摩化すように笑う。
サッカー馬鹿なのも相変わらずだ。
デザームは再びふと笑うと、転がっていたサッカーボールを拾い上げた。

「今日は、この辺りにしておこう」
「えぇ!?もう一勝負しようぜ!!」
「焦るな。私ももう一度手合わせしたいが、もう遅い」
「……わかったよ…」
「時間はある。また明日勝負しよう」

勝負をしたいのはデザームも同じ。
きっと誰も止めなければ朝までだってボールを蹴り続けていられる自信がある。
だが、そんなことをすればあの普段は気の優しいマネージャーたちが烈火の如く怒りだすのは目に見えている。

「円堂守。行くぞ」
「………」
「…どうした」

ボールを片付けようと歩を進めるデザームの足が止まる。
振り返ってみれば、何か腑に落ちないような円堂の顔。
何かあったのかと思い、デザームが引き返せば、円堂はいきなり「ああ!」と声を上げた。
さすがに普段冷静沈着なデザームもこれには驚いたのか肩をびくつかせる。

「………どうしたのだ……」
「そうだ!呼び方だよ!呼び方!!」
「呼び方…とは…?」

デザームの方を無遠慮に指差しながら叫ぶ円堂にどうしていいか分からない。
呼び方がどうしたというのだ。何か間違えでもしたのか。

「なんでデザーム、俺の事は『円堂守』ってフルネームで呼ぶくせに他の奴らは名字だけなんだよ!」
「………?」

訳が分からない。と言いたげに首を傾げるデザームに、円堂はあー!もー!と拳を上に突き上げた。

「だから!!さっき秋のことは『木野』って呼んだだろ?なのに俺だけ『円堂守』!おかしくないか?」
「…そう、か?」
「そうだよ!俺の事も『円堂』でも『守』でも『キャプテン』でもいいから呼んでくれよ!!」

そっちの方が俺も嬉しいから。と笑みを浮かべながらいわれ、デザームはふむ。となんとか合点する。

「つまりは親しみをもって呼べと?」
「そうそう!それが言いたかったんだよ!」

デザームがかいつまんで円堂の言わんとする事を汲み取れば、円堂は嬉しそうに頷く。
確かに、今思えば妙な話だ。普通人は人を呼ぶ時フルネームを読み上げたり等しない。
それをあえて行っていたのは、意図的なのかそれとも無意識なのか。
それは定かではないがすっかりその呼び方で定着してしまったデザームにとって、円堂の申し出は未知の領域だった。


「……円堂」


ぽつり、と呟く。
いつもの響き渡るような声ではなく、小さく、取りこぼしてしまいそうな声。
呼び慣れていないことが丸分かりで。それでも、それをきちんと聞き取った円堂は今までで一番嬉しそうな表情を浮かべた。

「そう!今度からそうやって呼んでくれよ!」
「…お前がそう言うのなら」

よおっし!と何を意気込んでいるのか分からないが拳を突き出す円堂。
とりあえず彼の用事はこれだけだったのだろうか。と首を傾げ、
再びデザームは部室の方へと足を運ぶため、きびすを返した。

「行くぞ。円堂」

前方から呼ばれる自分の名前。聞き慣れているはずの自分の名前なのに。
ただ、いつもと違う人に、違う呼び方で呼ばれるというだけで高揚感がわき上がってくる。
円堂はいつも以上の笑みを浮かべながら、デザームの元へ駆け出す。
そしてそのまま、じゃれるようにデザームの腰に飛びついた。

「…っ!?」
「なあ!デザーム!もう一回呼んでくれよ!」
「…何故だ…」
「俺が呼んでほしいから!!」

デザームの呆れたような表情に、僅かな笑みが混ざっているのを見て、円堂は嫌がられてはいないと直感する。
それだけでも十分嬉しくなった。
最後に試合をした時、感じた事。絶対にこいつとはいつか必ず楽しくサッカーが出来る。
その時は同じフィールドで心の底から笑うのだと。
そして、出来れば友達になりたい。いろんな事を話して、笑って。
彼の事がもっと知りたい。きっと、自分と同じようにサッカーが大好きだろうから。
そんな、自分がずっと望んでいたことへの第一歩が踏み出せた気がして、円堂はくすぐったそうに笑った。

「なあ、頼む!デザーム」

時間はまだ、たくさんあるから。
彼の最近よく見られるようになった柔らかい笑顔も、きっともっとたくさん見られる。

「………円堂」
「…おうっ!!」


だから、こんな些細な事でも、大きな第一歩になるのだ。



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私は呼び方ネタが好きなのだろうか^q^

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