聖夜 [鬼受け]


クリスマス当日は源鬼!
クリスマス関連の物はだいたい勢いで描いてます…(笑)


明日。シメはパーベル。なんでかは私が聞きたい…!!







時計は24日の23:50。
クリスマスになった途端にお前にメールを送ったらなんて反応が返ってくるのだろうか。
などと、少々幼稚な事を考えて携帯を構える。
送る予定の内容をしっかりと打ち込まれた携帯画面が煌煌と光る。
そこに書かれた文字は、実にシンプルで使い古された言葉。
時計の針は着々と進み、ついに25日へと日付が変わろうとするその瞬間。
鬼道は送信ボタンを押そうとした。


が、それよりも早く、携帯画面がメール受信画面へ切り替わる。


一体誰なんだと思い、メールを開けば送り主は「佐久間次郎」
そこには自分が別の人に言いたかった言葉と共に,嫌に長い言葉の羅列。
こいつからは24日に切り替わった瞬間にもメールが入った記憶がある。
返事は後回しにしようと思い、再び作成したメールの画面を呼び出すが、
その都度別の誰かからメールが入る。
次々とまるで狙ったのではないかと思うようなメールの件数に少しばかり嫌気がさしてくる。
だが、送り主が自分の所属するサッカーチームのメンバーだという事を考えると無下にも出来ない。
しかし、返信をするわけにはいかないのだ。
この日に,一番最初に彼に言うために、その言葉は取っておきたかったから。
仕方なく送られて来たメールの内容だけでも見ようと10人を軽く超えるメールに目を通して行く。
どれも皆切り貼りされたかの用に同じ言葉が踊っていた。当たり前なのだが。
だが、その中に一つ、自分がメールを送ろうとしていた人物の名前を見つけてハッとする。
慌ててメールを開けば、そこには他の皆とは違う、一行だけの短い文。




『外で、待ってる』





慌てて着替えてコートを引っ掴み、外へ出る。
門の前にたたずみ、白い息を吐き出すそのメールの送り主の背中を見つけて、慌てて近づいた。
どれだけ長い時間外にいたのだろうか。鼻先が赤かった。
心配そうに彼の前に姿を見せれば、そいつは本当に楽しそうに笑っていた。


「鬼道。メリークリスマス」


はっきりと言われた言葉は、自分が散々彼に文面として贈ろうとしていた言葉。
本人を目の前にして、その声で言われる。
それだけの事に、どうしてここまで心が躍るのだろう。

「…お前…わざわざそれを言いに?」

言葉を告げたきり何も言わない源田を前にして、鬼道はまさかと思い問う。
すると、やはり困ったような笑顔だけが返って来て。
呆れる反面、なんだか無性に笑えて来た。

「お前に、一番に言いたかったんだ」

直接、な。
そう呟いて白い息を吐く。
なんだ。同じ気持ちだったのか。それが分かった途端何やら無性に気恥ずかしくなる。
冬の寒空の下なのに、顔は何故だか凄く熱い。
だけれども、なんだかむず痒くて、鬼道は静かに笑った。


「メリークリスマス。源田」
「おう」


文面じゃなく音として伝えられたそれは、なんだか酷く暖かい気がした。

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