なんとなく。 [土受け]


ひっさびさに一土!!まとめきれなかった!!(爆)
1回だけ座席が移動していた土門が気になりすぎてつい…。








今日は、なんでかこっちがわ。
メガネに悪戯するたんびに、怒られる。

「なんで今日、こっちなんだよ」
「?」

マジックを取り上げられて、むくれる木暮が土門に問う。
対する土門は何の話か分からないらしく、首を傾げるだけ。

「席だよ!お前いっつもあっちの席じゃん!」
「ああ」

びしっと指し示した先にはリカと一之瀬の姿。
相変わらずリカの猛アタックに一之瀬はお手上げ状態らしく、
窓際に追いつめられて逃げられないという状況も上乗せされいつも以上に疲れた顔をしている。
木暮はおもしろければ何でもいいという思考なのでどうでもいいが、
土門としては親友が取られたのだ。少しは思うところでもあるんじゃないのか。
木暮はやっと理解してくれたらしい土門の顔をのぞき見る。
土門は眉根に皺を寄せていた。あ、やっぱ嫌なんだ。

「だってお前…逆にあそこに今までよくいられたなって話だろ…」
「ま、メーワクだよなー」
「たまには俺だってのんびりバスの旅を楽しみたいってわけよ」
「ふうん」

もっともらしいこと言ってる。

「すっごーく困ってるように見えるけどなー。俺」

ほっといていいのぉ?なんて、土門に聞けば、涼しい顔していいのいいの。なんて。
妙に淡白で、妙に腑に落ちない。

「あれで結構一之瀬まんざらでもなさそうなんだよなぁ」
「マジ?」
「マジマジ。最近べったりくっつかれるのもよけてないしなぁ」

そう言われれば。
前は引っ付かれただけで逃げ腰になっていたというのに、
ここ最近は慣れたのかどうなのかわからないが、平然としているときが多い気がする。
言われなければ気づかなかったことに、木暮は妙に納得してしまった。
さすがは、親友。

「じゃあ今は?」
「んー…ちょっと困ってるけどまだギリ許容範囲…かな?」
「んな細かいとこまでわかんの?」
「なんとなくな」
「へー」

土門の言葉に感心しきり。
木暮は食い入るように一之瀬とリカのやりとりを見やる。
言われてみれば確かに、少し嫌そうにしているが逃げようとする素振りはない。
普通そこまで気づかないだろうことを的確に言ってのける土門は何者なのか。
木暮は土門と一之瀬を交互に見つめた。

「でもやっぱ、助けなくていいのかよ?困ってんだろ?」
「あー。まだ大丈夫だろ」

もっともなことを言えば、心底楽しそうに笑われた。
親友の困った状況の何がそんなに楽しいのだろう。
木暮はおもわず眉根に皺を寄せた。

「それに、よっぽど嫌なときは泣きついてくるからな」

ニヤリ。と悪戯っぽく笑う土門の表情を呆然と眺める。
木暮がぽかんとしていると、隣からリカの叫びと一之瀬の泣きつく声がバスに響いた。

「土門助けてぇえええ!!」
「あ、ちょっ…ダーリン!」

どうやらリカにキスを迫られたらしい。
一之瀬が、隣から勢いよくこちらの座席に飛び移る。

「お前、もっと静かにしてろよ!!」
「って言うかなんで土門今日そっちの席なのさ!!見捨てないでよ!!」
「邪魔しちゃ悪いかと思って」
「むしろ邪魔してよ!?」

ぎゃあぎゃあと一気に騒がしくなった自分の座席で、
木暮はひとり現状から置いてけぼりを食らっていた。
延々と騒ぎ、先ほどよりも生き生きしてきた2人を見上げながら、

「…ほんとに泣きついて来た…」

土門の言った言葉を反芻し、ただただ関心しきっていた。


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