パンドラ [その他]


今日はプレイ記なしです。エクストラと練習試合くらいしかしてない(笑)
エクストラで尾刈斗、練習試合で秋葉と傘美野を倒してきました。
幽谷が本当に相手GKのTP削るのに役立って仕方ない。少ないTPで打てるシュートが多いんで。
チームレベルは30まで上がりましたwwもうこの章ではレベル上げしないぞ!!


続きから鉈幽です。






天気は快晴。
秋晴れの空の下、幽谷は校舎の屋上でしゃがんでいた。
今日は屋上で昼食をとろうかと思い扉を開けた瞬間見つけたもの。

「鉈先輩?」

フェンスにもたれかかった状態で座ったまま身動き一つしない鉈の姿が、
だだっ広い屋上にぽつんと存在していた。
興味を引かれ、思わず近寄った結果、今のような状況に至る。
近寄っても何の反応も示さない鉈に、幽谷は首をかしげる。
別に死んでいる訳ではない。
仮面のせいで表情はまったく見えないが、肩が規則正しくゆっくりと上下しているのがその証拠。

「寝てるん、ですか?」

驚きの色を僅かに滲ませた声で、呟く。
寝ている鉈なんて当たり前だが見た事がない。
よく、同じクラスである三途が「鉈は授業中寝ててもバレないからうらやましい」などと呟いていたため、校内で寝た事はあるのだろう。
だが学年が違う幽谷がそれに出会う機械は全くと言っていいほどない。
そのため、初めて見る寝ている鉈の姿を思わずしげしげと眺めてしまう。
確かに今日はいい天気だ。寝たくなる気持ちも分かる。
幽谷は鉈を起こそうとはせず、その隣に腰を下ろすと弁当を広げた。

グラウンドから聞こえる他の生徒のはしゃぐ声を背景に、
幽谷は黙々と箸を進める。
時たまちらりと鉈の方を見るが、相変わらず規則正しい呼吸音が聞こえるだけで変化はない。
くぐもったその呼吸音に、ふと、幽谷の興味が別のものにそれる。


そういえば、鉈先輩の仮面の下を見た事がない。


それを言うなれば、素顔を見た事がない人物は他にも2、3人はいる。
自分もきっとその一人だろう。
だが、その誰よりも何故か鉈の仮面の下に興味を引かれる。
箸を置いて、そっと先ほどのように鉈の正面にしゃがみ込む。
青いバンドできちんと顔に貼付けられてある白い仮面。
視界の確保のためにくりぬかれた両目の穴。
片目にだけ突いた切り傷のような切れ込みはいつついたのか知らない。
二つの穴と、鼻がある場所に作られた凸部分以外、何もない白い仮面。
所々についている傷が使い古された事を物語っていた。
いつからつけているんだろう。だとか、何のために。だとか。
わき上がる興味と疑問は尽きなくて、同時に悪戯心がわき上がる。

少しくらいなら、覗いても構わないだろうか?

おそるおそる手を伸ばし、顎の方に手をかける。
妙にドキドキするのはバレやしないかというスリルのためか。
何故だか凄くしては行けない事をしている気分になる。
それでも、手は止まらない。
ゆっくりと持ち上げれば、当たり前なのだが鉈の本当の顎が覗く。
そして、口が覗き…



「…幽谷」



その口が、ゆっくりと自分の名を刻んだ。
仮面越しのくぐもってなどいない、鉈の、本当の、声。
思わず固まる幽谷の腕を、鉈がそっと握った。

「…ッ!い、いえ…あの…っ…」

起きていた。
いつだとかそんな事よりも、先ほど聞いた鉈の声が頭から離れない。
幽谷は反射的に顔を紅潮させて慌てて鉈の仮面から手を外した。

「……す、すみません…」

仮面を直している鉈に、幽谷がうなだれて謝れば、
やはりいつも通りの仮面越しの、くぐもった笑い声が聞こえた。

「気にするな。慣れている」

やはり皆も気になるのか、よくはがそうと奮闘されるらしい。
だが、いつでもすんでのところで回避してきた。
気にするなと言ったのに未だに申し訳なさそうに狼狽している幽谷に思わずまた苦笑する。

「少しでも見られたのはお前が初めてだ」
「すっ、すみません!!」
「だから、気にしてないと言っただろ」

別に見られて悪いものでもない。
だが、ずっと隠して来たものを今更容易く明かすのも気が引けるだけ。
それだけで仮面を付け続けている自分も自分なのだ。
同じ体勢で寝ていた鉈が、思いっきり背伸びをし、首をゴキリとならす。
その様をぼうっと見ている幽谷は、未だに鉈の前で正座をしたままだ。

「…気になるか?」

ここから上が。と鉈は口の上から額までを指し示す。
すると、先ほどまでの申し訳なさもあってか幽谷が力強く首を横に振った。
本当は気になるのだろうが、礼儀正しい彼のことだから断っているのだろう。
と、言ってここで幽谷が首を縦に振っていたとしても仮面を外したかどうかは分からない。
そんな2人のやりとりを遮るかの様に、チャイムが鳴り響く。
昼休みも終わりだ。
2人そろって教室へと戻る最中、言葉は交わされなかった。
ただ、各教室へと別れる前に、鉈が一言「幽谷」と声を上げる。

「気が向いたら、見せてやる」

コツコツと自分の仮面を指先で叩きながら意地悪く笑う。
くぐもったその声に、幽谷は一瞬ぽかんとしていたが、
鉈の言いたい事を理解したのか、鉈と同じように悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「気が向いたら、お願いしますね」

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