先輩とは。 [その他]


なんか凄く鉈幽←三臭い鉈と三途の話。
中学はまだ給食だろうとか気にしないでください。
なんとなく尾刈斗とかは弁当なイメージ。
帝国は学食。なんか豪華。

昼食語りはともかく続きからどうぞー。







ウチの部には1年から3年までがいて、けど3年生の比率はやっぱり少ないから、
必然的に人数の多い2年生が頼りにされる訳で。
だからこそ、自分も頑張らねばと、思うのだ。
思うのだけれど。

「あの、鉈先輩。今度の練習試合のことなんですが」

「鉈先輩。明日のミーティングのことなんですけど…」

「鉈先輩」

ウチのキャプテンが最終的に頼るのは、決まって鉈なのだ。





「鉈は、ずるい」

昼休みに昼食をつつきながら、ぽつりと文句を言う。
それが聞こえてしまったのか、向かいで仮面を僅かに持ち上げストローから飲み物を飲む鉈が顔を上げた。

「何がだ」
「ずるい、というか、うらやましい」

だから、何がだ。と、仮面を再び元の位置に戻しながら聞かれる。
一方の三途は鉈に視線は向けないまま、ひたすらに自分の弁当箱を凝視していた。
生気のない彼特有の瞳が、揺れる。

「幽谷に、頼りにされてて」
「……ああ」

鉈の箸がおかずをつまんで持ち上がる。
ふと、顔を上げてみればそれは早くも彼の口の中に入った後で。
今まで2年間奇跡的に同じクラスだが、彼の食事シーンをまともに見られたためしがない。
なので相変わらず彼の素顔は誰にも知られないままだ。
そんな、何を考えているのかいまいちわからないやつなのに。

「なんで、鉈ばっかり」
「それは俺にもわからない」

気づけば懐かれてたからな。なんて。
確かに鉈と話すときの幽谷はどこか楽しそうなのだ。
安心しきっているというか。なんというか。

「俺も、同じように年上、なんだから…頼りにしてくれればいいのに」
「別に頼りにしてないわけでもないだろう。幽谷は贔屓したりはしない」
「してる。今、現に」
「それはお前の思い過ごしだ」

鉈は平然としたものだった。
三途がこんなにも悩んでいるというのに。
食欲がなくなったのか、三途はついに箸を置いてしまった。
食べないのかと問う鉈の言葉に返事も返さない。

「俺も、鉈みたいに頼りになる先輩になりたい」

自分と鉈の違いは。と考えたら、やっぱり頼りがいがあるかかそうでないかの一言につきる。
鉈はいつだって冷静だし、何より男らしいのだ。
まさに『頼れる先輩』という雰囲気が感じ取れるほど、彼の存在は安心感を得られる。
しかし、自分はどうだ。普段から顔色も良くないし、貧弱そうなイメージがついて回る。
霊体験をしてから自分でだって生きている心地がしない曖昧な存在なのに。
…そんな自分に、どうやって頼れというのだろう。
多分、かなわない。目の前の友人には。

「だったら、そうなればいいだろう」

あっけらかんと、自分にないものを持っている鉈は言い放つ。
ああ、そうだね。そうなれたらきっと一番良いのだろうな。

「………俺は、鉈みたいに、たくましくない…」

言っていて、自分で自分が情けなくなった。
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