サンセットサンディ [エイリア]


色々どたばたしてきました。早めにやらないから…!
とりあえず第一にペーパー作らないと、ね!←


今日の更新はパーベル!
前回上げた「チョコレートサンデイ(だったかな←)」の続きになります。
そちらを読んでからの方が分かりやすいかも、しれない。



















日が傾いて空が夕焼け色になったころ。
さてそろそろ夕飯の支度でもするべきかと立ち上がったとき、玄関が開く音が聞こえた。
お日さま園は全体的に純和風な造りだ。
引き戸のガラガラと言う音は嫌でも園全体に響き渡り、誰かが帰って来たか出かけて行った事を園にいる者たちに告げる役割を果たしていた。
この時間帯に出かける者はそうそういない。きっと誰かが帰って来たのだろう。
誰だろうかと玄関に向かい、ひょこりと覗き込む。
そこには昼頃に出かけて行ったネッパーとバクレーがおり、2人とも両手にぬいぐるみ等の詰まった袋を抱えていた。おそらくクレーンゲームか何かの景品だろう。
ああ。相変わらずのゲーセン泣かせだ。

「おかえり」
「おう」

声をかければ、靴を脱ぎながら短い返事が返って来る。
ベルガが玄関先に現れた事を見て取り、ふとネッパーの方を見たバクレーがいそいそと袋を抱えていち早く玄関から脱する。

「んじゃあ俺、これバーラに渡してくるわ」
「おー」

基本的にゲームをすることが好きな彼らにとって景品は二の次の存在だ。
一体どこに新しいぬいぐるみを置くのだろうか。というほどに可愛いもので埋め尽くされているバーラの部屋の半分は彼らがクレーンゲームで勝ち取った景品なのである。
今回も同じ末路をたどるであろう袋一杯の景品を持ち、玄関を後にするバクレーを見送った後、ふとネッパーに視線を戻せば何やらにやりと笑みを浮かべた。

「どうした」
「いや。持つべき者は空気の読める悪友だと思ってよ」
「なんだそれは」

分からない。と言いたげに首を傾げれば気にするなとだけ返って来る。
バクレーと随分仲がいいのは知っているので、それ以外に深い意味はないのだろうと判断し、そうか。と返す事で会話は一旦終焉を迎えた。
そして、ふ。と思い出す。そういえば今日はまだ日が暮れていない。
いつもいつも、彼らが2人で遊びに出れば、日が沈むまで帰ってこないのが日常茶飯事だ。
おかげで裏口からこっそり入ってくるところをウルビダ辺りに見つかって怒られるというのが関の山なのである。
なのに今日は日暮れ前の帰宅。ついにウルビダの鉄槌に恐れをなしたのだろうか。とさえ思ってしまう。

「今日は早いな」
「何が?」
「帰るのがだ」
「…あぁ」

台所へ向かうベルガの横に当たり前のようについてきたネッパーに問えば、ニヤリと笑われた。
この余裕を見る限り、どうもウルビダに恐れをなした訳ではないようだ。
クツクツと笑うネッパーをしばらく見ていると、ふと視線があう。
どこまでも暗い色をしているはずなのに、それは妙に楽しそうに輝いていた。

「今日の夕飯当番、アンタだろ?」
「ああ」
「だからだよ」
「?」

訳が分からない。と思うのは今日だけで何度目か。
再び微妙な面持ちで首を傾げるベルガを見ながら、ネッパーは楽しそうにカラカラ笑いながらベルガの1歩先を歩く。
結局尋ねても答えてはくれない風だったので、追求は諦めてそのまま足を進める。
たまに彼が分からない。

「あ」

台所にたどり着いた時、ふとネッパーが思い出したかのように声を上げる。
何事だろうと見やれば、不意にずいっと手を差し出される。
この動作が意味するものは大抵理解できる。「何かくれ」だ。
しかし何を。と考えたところで、今度ばかりはピンと来た。

「これか」

台所の棚の中に盗られないようにと隠しておいたものを取り出す。
昼間に作っておいたマフィンだ。
これのことか。とそれを軽く掲げる事で相手に確認をとる。
するとネッパーはにやりと笑った。当たりらしい。

「大正解」

ベルガが取り出したそれを楽しそうに笑いながら受け取るネッパー。
作っている現場に出くわされ、寄越せと言われていたものだ。

「一応クララとアイシーのお墨付きだ」
「あいつら食ったのか」
「まあな」
「…ふうん」

面白くなさそうに生返事を返す彼に苦笑をしながら夕飯の準備に取りかかる。
おそらく他の当番の連中もすぐに来るだろう。
手際よく準備を始めたベルガをしばらく見ていたネッパーだったが、やがてくるりときびすを返しその場をあとにする。
物をもらった礼を言わないのはいつもの事だ。
それでも、あとで「美味かった」の一言でも貰えればベルガにとっては十分だったのだが。











「おう。早かったなぁ」
「おー」

がらりとふすまを開けて部屋に入って来たネッパーをバクレーが迎える。
携帯ゲームに向けられていたバクレーの視線が、ネッパーが手にしている物に注がれる。

「なんだそれ」
「あ?」
「手に持ってる奴」
「ああ。マフィンだとよ」
「へぇ」

ベッドにどさりと腰を下ろし、包みを開ける。ふわりと甘い匂いがした。
取り出して一口かじってみると匂いに反して甘ったるくはなく。
控えめな甘さに、なんとなく口元がにやける。
自分が甘い物が苦手だという事を彼が知っている事を、知っているから。

「何にやけてんだよ」
「何がだよ」
「そんなに美味いのか?」
「まあな」
「くれよ」
「誰がやるか」
「みみっちいこというなって」
「やらねぇ」

「カノジョの手作りなのに、誰が手前にやるか」


さらっと惚気たネッパーに、一瞬惚ける。
が、弾けたように笑い始めたバクレーにネッパーもにやりと笑う。

「彼『女』じゃねーだろ。『女』じゃ」
「うるせぇ」

けたけたと笑う楽しげな笑い声は夕飯時まで続いていた。



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最近文章をまとめきれていない気がする。

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