チョコレートサンディ [エイリア]


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今回久々に小説!パーベル前提のベルガとクララとアイシーのやりとり。
ところで本名バレはいつから大丈夫なんでしょうかね…。
今回のは一応エイリア名で書いてますけど…。
本名使う場合は一応注意書きとかかいていこうと思います。




















甘い匂いがする!
そう言って突然立ち上がり、駆け出したアイシーの後を追う。
ふんわりと漂うのはチョコレートとバターの良い匂い。
思わずお腹を鳴らしながらアイシーに次いでクララもキッチンへと足を踏み入れた。

「わぁあああ!マフィンだ!」
「アイシー?」

嬉しい悲鳴を上げながら、アイシーがキッチンで調理をしていた人物に飛びつく。
腰辺りにダイレクトな衝撃を受けながらもそれは僅かにぐらついただけ。
手加減無しのタックルを受け涼しいながらも僅かばかりに驚きの表情を見せる人物の手元を見て、クララは首を傾げた。

「ベルガ、暇なの?」
「………まあ、暇だったのは事実だが…あっさり言われると何やら痛いな…」
「あら。別に責めた訳じゃないのよ?」

言外に「この暇人が」という響きを捉えたのだろうか、ベルガが思わず表情を引きつらせる。
だが、そんな空気を全くもって読み取らず、ただただはしゃいでベルガにじゃれついていたアイシーが彼の後ろからひょっこり顔を出し、クララをたしなめ始めた。

「いいじゃない別に!」
「だから悪いって言ってないでしょう」
「私を挟んで喧嘩をしないでくれ。ちゃんと2人の分もある」

キャンキャンと口論を始めた2人を今度はベルガがたしなめるはめになる。
だか、ベルガの言葉は効果覿面だったらしく「2人の分もある」という言葉に、2人の表情が一気に花開いたように明るいものになる。
ああ、女の子が甘いもの好きとは本当らしい。

「ねえ!あとどれくらいで出来る?」
「後は型に流して焼くだけだ」
「じゃあもう少しじゃない」
「上手く焼ければな」
「大丈夫!ベルガ最近もっと料理上手くなってるもん!」

アイシーの褒め言葉に僅かに微笑み、生地を型へと流して行く。
確かに、平和そのものとなった今、ベルガの料理の腕前は目まぐるしい成長を遂げていた。
エイリア時期は練習が忙しかったせいで簡素なものばかり作っていたのだが、
ここ最近は時間も十分に確保できるためか、凝ったものにも手を出し初めていた。
大抵は朝昼晩の食事のためのレシピだったが、近頃デザートの方にも幅を広げている。
男が料理などおかしい。という凝り固まった思考の人物は何人かいるかもしれないが、
そんなことを言ってしまえばたちまち元ダイヤモンドダストメンバーが潰しにかかってくるという噂まで立ち初めていた。
実際、昔から彼の作るものを食べていたメンバーにとってはそれを侮辱されるのがどうしても許せなかったのだろう。
事実、美味いのだ。ベルガが作るものは。

「最初は食事のレパートリーを増やすだけのつもりだったんだがな」
「いいじゃない!料理できる男の人ってモテるんだから!」
「そうよ。それに私ベルガの料理以外食べる気にならないわ」
「いや、そこは食べてやってくれ」

型に流し終えたものをオーブンへ入れる。
じじじ、とオーブンが短く音を立て始めた事を確認し、エプロンを外す。

「後は待つだけだ。お茶でも入れよう」
「わーい!」

盆を取り出し、カップを探すベルガを見て、アイシーとクララの嬉しそうな声が重なった。










「美味しい!」

焼き上がったものを皿に乗せ、2人に出せば美味しそうにほおばり始めた。
その素直な反応にベルガも顔をほころばせ目の前の紅茶を一口啜る。
完成したそれは初めて作ったにしては形が良く、二人の評価も相まって完成度がよほど高いものだと伺えた。
エイリア時期にはサッカー一筋だった自分からは信じられない現状だが、別に嫌という訳ではない。
むしろ平和である事の証だと思い、今は素直に目の前で最後の一つを奪い合うクララとアイシーを眺める事にした。

「喧嘩をするなと言っただろう…」
「だって!クララさっき2つも食べたのよ!」
「アイシーだってそうでしょう?」
「そっ、それは…!」
「…半分に切ろう。それで問題ないはずだ…」

本日何度目かの口喧嘩に、僅かばかりため息をはいて台所からナイフを取るためにベルガが立ち上がる。
そんな彼の後ろから「その手があった!」「さすがベルガ!」などと褒め言葉が聞こえてくるが正直微妙な心境である。
どうやら和解したらしい二人の談笑を耳にしながらナイフを探すベルガの視線がふとテーブルの上に起きっぱなしになっている包みに向けられる。
ああ、危うく忘れるところだった。

「そう言えばそれは誰にあげるの?」
「!?」

思ったよりも近いところから突然声をかけられ、思わず反射で勢いよく振り返る。
そこには先ほどまでアイシーと談笑していたはずのクララの姿があり、
その視線はしっかりとテーブルの上の包みに向けられていた。

「ああ。あれか」
「ええ」
「いや、二人が来る前にネッパーが来てな」
「ネッパー」

名前を聞いた瞬間クララの表情が一気に曇る。
何故だかは分からないが、どうにもクララはネッパーの事を快く思っていないらしい。
表情を渋らせるクララに苦笑を返しながら、ベルガは彼女たちがここを訪れる前の僅かなネッパーとのやり取りを説明することにした。
どうせ詰問されるのだ。最初から話してしまった方が何かとやりやすい。



本当に数時間前。台所に立って材料を揃えていた時だった。

『なんか作んの?』
『!? …ネッパー、脅かさないでくれ…』

完全に不意をつかれた状況でいきなり声をかけられ、反射で振り返ると暗い瞳と視線がぶつかる。
手元を覗き込むその視線の先に、ベルガ自身も視線を戻しながら再び手を動かし始めた。

『ああ。時間が空いたんで何か洋菓子にでも挑戦してみようかと』
『ふうん』

素っ気ない返事が返ってくるのにはもう慣れた。
自分で聞いておきながら答えを知れば素っ気ない彼の言葉を聞きながらも手は休めない。

『そっちは出かけるのか?』

何気なく聞いてみる。
ネッパーはお日さま園内にいる時は基本ジャージのようなラフな格好ばかりしているのだが、今日はきちんと洋服を着込んでいる。
どこかに出かけると見て問うてみたところ、ネッパーがにやりと笑った。
どうやら当たりらしい。

『今からバクレーとゲーセン』
『張り切って金を使いすぎるなよ』
『あいよ』

まるで保護者のような言い方だったが、ネッパーは気にする事なくニヤニヤしながら素直に頷く。

『それ、出来たら誰かにやんの?』
『試作品だからな…味の保証がないものをそうそう人にあげるわけにもいかないだろう。
 …まあ、それでもアイシーやクララには嗅ぎ付けられそうだがな』
『クララねぇ』

クララの名前を聞いてネッパーが渋い顔をする。
こちらもこちらでクララの事を快く思っていないらしいが、何故彼らが嫌い合っているのか理由が分からないベルガにはどうする事も出来ない。

『なあ、出来たら俺にもくれよ』
『上手くできる保証はないぞ』
『じゃあ失敗作処理してやるよ』
『…お前は…』

皮肉や嫌味にしては随分なことを言うネッパーを咎めようとしたが諦めてため息をはく。
ニヤニヤと楽しそうに笑うネッパーに何を言っても通じないのはもう分かり切っている。
ため息をはいたベルガを見て、どうやら満足したらしくネッパーはカラカラと笑いながら台所を後にする。

『楽しみにしてんぜ』

そんな台詞を残して。








「最低」
「………」

話を一通り聞き終えた頃にはアイシーも台所にやって来ており、二人の仏頂面が並ぶ結果となった。
それを眺めながら、ベルガは苦笑しか返せない。

「ベルガが失敗するワケないのに!」
「いや、私だって失敗くらいは…」
「今までハズレなかったもの。あり得ないわ」
「………い、いや…」
「何なのよあいつ!」
「い、いや…二人の反応を見る限り成功のようだからネッパーも文句はないだろう」

女子群の言い分に気圧され気味のベルガだったが、突然、そんなベルガを見て何やら諦めたようにため息をつき始める二人。

「なんでベルガ、あんなのが好きなの…?」
「本当に、もったいない…」

がらりと変わった空気に、ベルガは完全に置いてけぼり状態だ。
何故今そんな話に話題が飛んだのかが全くもって分からない。
女子の会話には脈略がないとは聞くが、まさかこれほどとは。

「あっちが一方的に好きなだけならどうにかできるのに…!」
「いや、どうにかとはなんだ」
「ベルガが満更でもなさそうだからどうしようもないのよね…」
「…………」

今度は二人揃って悩み始める。
どうしていいのか分からないまま、ベルガは女子二人にはさまれ夕食時まで途方に暮れるのだが、
それは特筆すべき事ではないのだろう。



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一応続きがあったりなかったり。
ベルガは洋食でも和食でも中華でもなんでも作りそうだなぁ。


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