「ぬるい」 [エイリア]


拍手叩いてくださった方ありがとうございます…!
励みに頑張らせていただきます!うす!



今回フロベルで失礼します^^
久々に浮かんだネタがまさかのフロベルで自分でも驚き半分な訳なのですがね!
考えの読めないフロストさんが私は好きです←
読んでやんよ!という方は続きからどうぞー^^














日本に春夏秋冬、4つの季節が存在する。だから四季。
そんなことは嘘だろうと叫びたくなるようなうだる暑さに思わず音を上げそうになる。
冬が終わり、徐々に暖かくなって行く事を期待していた身としては、
ここ数ヶ月で一気に気温が上昇した事は恨めしいを通り越してもはや腹立たしい。
ちらりと窓の外を見やれば何をそんなに張り切っているのか。
真夏日を思わせるような日差しに照りつけられる草木が燃え上がるようにその色を濃く表していた。
ああ、暑い。暑い。
経営が厳しいのだと言って真夏になるまでは稼動を禁止されたエアコンが仕事もせずに怠慢を続ける。
忙しなく動かしていた手元の団扇で風を送ることにも疲れて、両腕を放り出した。
確か、団扇で扇ぐ事は腕の運動をする事と同じなので余計に暑くなると、聞いた事がある気がする。

「暑い」

口に出してもどうしようもないことなど分かり切っているが、ついこぼしてしまう。
表情は相変わらずの鉄面皮で、一件涼しそうなのだが、僅かに眉間に寄せられた皺が彼の不快感を顕著に表していた。
彼を良く知らない者はそれを見ただけで「なんか怖い」と逃げ出しそうな剣幕をしながら、フロストはひたすらに夏の熱気に耐えていた。

「………」

再び暑い。と言いそうになって思わず口を閉じる。言ったところで空しいだけだ。
洋間よりも和室の方が涼しいだろうかと思い、誰もいない和室の広間を選んで居座っているのだが、どうにもならない。
その部屋の一角であぐらをかいて必死で暑さと格闘していた時、ふと奥のふすまが開いた音が聞こえた。
さりさりという音に思わずフロストは顔を上げて振り返る。

「暑そうだな」
「……ベルガか」

振り返ったそこにいたのは、肌の色のせいか、涼しげに見えるベルガの姿があった。
見た目だけではないが、口元しか見えない彼の表情はこの暑さに参っているようには感じない。
その上、手にしていた盆から麦茶の入ったコップを差し出された。
あいかわらず、妙に気が利く男である。

「お前は涼しそうだな」
「いや、正直参っている」
「そうは見えないが」
「そうとは分からないだけだろう」

コレのせいで。と目隠しを指差し笑う。大当たりだ。
受け取ったコップから一気に麦茶を煽る。予想以上に水分が足りなかったらしい。
それを見やりながら横に座ってきたベルガも、自分の分を僅かに口に運んだ。

「暑いな」
「ああ。暑い」

そう呟くが、正直2人は元ダイヤモンドダストメンバーの中でも体温が低い方なのだ。
だからこそ外気の熱気に気圧されているのかもしれない。
だが、そこは表情の起伏に乏しいフロストと、表情の変化の機微が口元でしか確認できないベルガである。
周りのメンバーからは「夏も涼しげでうらやましい」とよく言われるのだが、とんでもない話だ。
実際に今、二人は涼しげな表情で暑さと戦っている。
ふ、とフロストは隣に座ったベルガを見やった。
普段はあまり肌の露出をしたがらない彼だが、今日は暑さに負けたのか珍しく黒のタンクトップ一枚という軽装である。
そのせいか、いつもより見える比率の上がった青い肌。
どうにも、涼しげに見えて、仕方がない。

「ベルガ」
「?」

呼んだら、当たり前だが振り返る。
何事かとこちらを向いたその寒色の肌を両手で思わず包み込む。
露出している顔の面積の関係か、どうしても指先は彼の目隠しに当たってしまう。
それが不快だったので、特に何の考えもなしに、指先を彼の目隠しの下にねじ込んだ。
思わず、ベルガがびくつく。

「フロスト…?」
「……………」

がっちりと顔を固定されたまま、固まって動く事が出来ない。
何より、普段滅多に外気に晒す事のない目隠しの下に人の手があるという感覚にどうにも慣れる事が出来ない。
極まれに、気まぐれに動くフロストの指先がこめかみを撫でる感覚に、ぞくりとした。
表情の全く読めないフロストの顔をじっと眺め、しばらく沈黙が続く。

「温いな」
「………はあ…」

ぼそりと呟かれた言葉は予想の斜め上。
それはそうだ。体温が似通った者同士が触れ合ったところで、相手の体温はほとんど分からない。
いくら普段は体温が低いと言っても、適度に暑さでゆだっている二人の体温にそう違いは生まれないだろう。
色と、それに相当する冷たさを期待していたフロストは少しばかり不機嫌そうな表情を表す。
だが、そんな思惑など知る由もないベルガにとっては、ただの良い迷惑だ。
どうして良いのか分からず、ただただ無言でフロストに捕獲されたままの時間を過ごすはめとなる。

「……温いが、まあ…」
「?」
「少し、この状況は楽しいな」

不機嫌が一転、僅かに笑みを浮かべると再びするりとベルガのこめかみを撫でる。
慣れない感覚に再び身じろぎしたベルガも、フロストの言葉を聞いて、妙に今の状況が恥ずかしくなって来た。
逃げたい。が、逃げられない。


「………熱い…」
「ああ、熱いな…?」


からかい混じりの言葉に、ベルガは困り果てて思わず俯く。
遠くの方で、蝉が鳴き始める声が、聞こえた気がした。


*****************************
最後の方のフロストさんは確信犯。
フロベルは何故か最もベルガが受け臭くなってくれます。なんでだ。

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