土砂降りのキリサメ [パーベル学パロ]


拍手叩いてくださった方ありがとうございます!!励みになります!
つかこんだけもらえたということは昨日上げた時代物パロのゴーサインが出たと見てよろしいのでしょうか!?(え)
ぶっちゃけまだ書き始めてませんし全体的な構成も曖昧にしか出来てませんが、
形が見えて来たら上げていく、かも、しれま、せん…!



そんな中で今回学パロの方のパーベル。
別に学パロでなくてもいいような内容なのですが、場面的に学パロの方が都合がいいのでこちらで。
なのでパロ嫌いな方でも一応見られるとは、思いますー。
いいぜ見てやんよ!という方は続きからどうぞー^^
















「ひっでぇ目にあった」
「だから私は傘を持っていこうと言ったんだ」

玄関先でぼやきながら2人そろって慌ただしく靴を脱ぐ。
出かけようとしたときには既に辺りは暗雲が立ちこめていて、
これは一雨来ると思いネッパーに傘を持っていくように進言したのだが、
すぐそこまでなのだからと提案はすぐにけられてしまった。
今思えばあそこで自分だけでも傘を持っておくべきだった。と後悔しても後の祭りだ。
案の定帰り道に酷い土砂降りの雨に遭遇し、2人揃ってその中を走って帰り、今に至る。
おかげで足の先から頭のてっぺんまでずぶ濡れで、
玄関先から持ち上げ、フローリングに着いた足が水気を含んだぐちゃりという音を響かせて何とも不快な気分になる。
先に玄関から室内に上がったネッパーは自身の靴下を脱ぎ洗濯籠に放り込む。
幾分かまともになった足元に満足して着替えでも持ってくるかと思った時、玄関先からふと自分を呼ぶ声が聞こえた。

「ネッパー」
「あ?」

何事かと玄関先を見てみれば、未だにそこで立ち往生しているベルガの姿。
何をやっているんだとため息を吐き、再び玄関先まで戻る。
今度は素足がフローリングを歩く、ぺたぺたという音が耳についた。

「すまないが、手を貸してくれないか」
「なんでだよ?」
「これが水を吸っているせいで目が上手く開けられなくてな」

これ。と言って指を指したのは、ベルガの目元どころか、顔の半分以上を覆い隠した青いバンダナ。
今まで触れた事はなかったが、これをつけてなお視界が良好というのがどうしても不思議でならなかった。
どうやら布でできたそれが、雨水を吸って、重くなっている分顔に密着しているらしい。
目を開こうとすると水分が目に入り込んでどうにも痛いのだそうだ。

「つか、アンタ目ぇあったんだな」
「私をなんだと思ってるんだ」

ニヤニヤと冗談を言いながら手を差し伸べてやれば、反論しながらベルガ自身も手を差し出す。
だが、本当に見えていないらしく2つの手はすれ違いを繰り返し、痺れを切らせたネッパーが宙をさまようベルガの手を掴みとった。
掴んだそれは、色も相まって酷くひんやりとしていた。

「冷てぇ」
「雨に打たれたからな。すまない」

ネッパーに手を引かれるようにベルガも玄関先からようやく抜け出す。
ふらふらと歩くベルガが危なっかしく、彼の手をつかむネッパーの手も妙に優しげなものに替わる。
何とかたどり着いた脱衣所にある洗面台の縁に、ベルガの手をそっと降ろしてやる。

「すまないな」
「いや」

僅かに微笑むベルガの顔を見て、ネッパーは素っ気なく返す。
笑っているし、それは多分自分に向けられた物なのだろうが、彼自身には自分は今見えていないのだろう。
何故だかそれが妙に悔しくて、ベルガに気づかれないように僅かに舌打ちをする。

「ネッパー」
「なんだよ?」
「すまないが、後ろを向いておいてくれないか」
「あ?なんで…」

なんでそんなことを。と言いかけて、ベルガが言わんとしている事を汲み取る。
濡れた目隠しをそのままにしているのは不快だろう。
かといって、ずっとつけている訳にも行かない。
だから、外すのだ。彼は今からそれを。

「あいよ」

短くそう返して、ベルガの背中に自分の背中を押し付ける。
そうやって、無言で「後ろを向いてやったぞ」と彼に伝えると、ベルガも理解したのか「すまない」と苦笑まじりに答えた。



カチャリと金属の音がするのはあの奇妙なネジのようなパーツを外した音だろうか。
ずるり、というかすかな音と共に、彼の髪が揺れる音。
べしゃ。と音がしたのはきっと彼が完全にあの目隠しを取り外した音だろう。
雑巾を絞るような音がする。どんな乾かし方だ。まあそれ以外思い浮かばないが。

「ネッパー、お前も着替えに行っていいんだぞ」
「……あー…」

ベルガの言葉で、自分自身も濡れたままだった事を思い出す。
だが、どうにも着替えにいく気になれずベルガに背中を預けたまま、生返事を返すだけに止まった。
そんなはっきりしないネッパーの答えに僅かに苦笑したのか、ベルガの背中が震える。
そのまま蛇口をひねる音。顔でも洗うんだろう。
濡れた顔を水で洗うというのも不思議な話だとどこかずれた事を考えながらばしゃばしゃと水の跳ねる音を聞く。
音が止んだ後、彼の方が僅かに身じろぎするのを感じて、自分の目の前にあったタオルを掴んで後ろ手に渡してやる。
どうやら当たりだったらしい。「ありがとう」と短く返され、手からタオルが離れていった。

「なあ」
「?」
「アンタのその下さ、どうなってんの?」

何の考えもなしに聞いてみる。気になりはしていたのだ。

「…見たいのか?」
「見せてくれんのなら」
「……………」
「アンタが嫌なら別に良い」

無言は拒絶ととった。
ベルガは素顔を見られる事を酷く嫌う。
何が嫌なのか、どうして嫌なのか。聞いた事はないが、聞くべきではない事くらい理解できる。
あっさりと引き下がったネッパーに、ベルガが「すまない」と沈んだ声で答えるものだから、思わず肘で彼の脇腹を小突いてやった。

「顔見られなくても、アンタはアンタだ」

ぼそりと呟いた声が、聞こえたらしい。
僅かに彼が振り向いた気がしたが、見なかった。見られたくないと彼は言うから。
だからどんな表情をしているかは分からなかったが、気分は損ねなかったらしい。
相手の肩が震える。これは笑っているときの震え方だ。

「男前だな」
「惚れ直したか?」
「調子に乗るな」

笑いまじりで返された言葉にネッパー自身もクツクツと笑う。
もはや、全身ずぶ濡れであることはどうでもよくなっていた。

「で、よお」
「?」
「アンタこれからどうすんの?それまたつけるわけにもいかねーだろ?」
「………あ」

おそらく彼の手の中には水分は絞り出したものの、未だに湿った目隠しがあるのだろう。
それを再び身に付けるのはさすがにどうかと思う。
だが、だからといってネッパーには素顔を見せたくない。
しかしこのまま洗面所で目隠しが乾くまで背中合わせでいるのもどうかと思う。

「まあ、俺はこのままでもいいけどよ」
「それでは風邪を引く」
「じゃあどーすんだよ」

カラカラと笑うネッパーはこの状況を完全に楽しんでいる。
さて、どうしたものかと首をひねるベルガは、手元にあるタオルをしばらく見つめていた。


その後、妥協案として手近にあった新しいタオルをベルガが目元に巻き付けている姿を見て、ネッパーが笑い出すのは数分後の話である。



*************************
・同居中
・家に2人しかいない
というシチュエーションから学パロに分類させていただきました。
でも学パロの方まだ告白してないはずなんですけどねwwなんだこの長年連れ添った夫婦みたいな空気www
梅雨時期ですしタイムリーということで(笑)


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