遠くて甘い記憶から [エイリア]


珍しくお腹空いてないんですけどお腹地味に痛いです←



今日はグレベル!お日さま園時代捏造です。まさかグレベルでやるとは思わなんだ。
ベルガの設定は「×ベルガ考察」のキューベル項参照。お日さま園時代のウチのベルガ(え)
お日さま園時代なのでさすがに今までのような暴力とかないですよ安心してください(笑)
捏造とか大丈夫ですという方は続きからどうぞー^^
















自分としては比較的まともなつもりだった。
生まれ持ったこの顔は、嫌いになるにはあまりにも親しみ過ぎて違和感も何もなく。
なのにそれを見て、自分より年下の連中は怖いと言って泣き出すのだ。
これほど理不尽な経験をした事はなかったように思う。
小さいときはそれに人並みに傷ついて凹んだりもしていた。
今となってはもうどうでも良い事なのだが。
とにかく、そんな事もあって、自分にはほんの一握りの友達しかいなかったのを良く覚えている。



その日はその一握りの友人たちもお日さま園の中にはいなかった。
いるにはいるのだが、自分だけは何故か外に出て適当な場所にしゃがみ込んでいるというのが現状だ。
そもそも、レアンが俺の顔を見て泣き出すのがいけない。
俺は何も悪い事なんてしていないのに、目を合わせた瞬間泣き出すのだからたまったものではない。
1人、それなりに不貞腐れていたのだろう。
泣いたレアンにかまいっきりの皆を後にした結果が、ひとりぼっちのこの光景。
別に寂しいとも思わなかった。慣れっこだった。
その時、こつりと靴先にボールがぶつかった感覚がして、空を見上げていた顔を地面に向ける。
そこには、自分たちが持つには大きいボール、サッカーボールが転がっていた。

「あ」

それがなんであるかを確認した後、そんなかすかな声を聞いて再び顔を上げる。
そこにはあまり見慣れない顔があった。
…と、言っても顔なんてものほとんど見えやしなかったのだが。
突然入り込んで来たそいつは、顔の半分以上を包帯で覆い隠したまま、俺を見つめるという器用な真似をしてきた。

「そのボール」
「?」

見えない視線の先はどうやら自分が持っているボールだったらしい。
遠慮がちに指差されたそれを自分はしばらくの間見つめ、軽く放ってやる。
綺麗にそれをキャッチした彼は、ひょっとしたら見えているのだろうか。その幾重にも巻かれた包帯越しに。

「ありがとう」

丁寧にお礼を言われ、思わずそっぽを向く。
その時の自分は構わないでほしかったのだろう。1人でむくれていたかったのだ。きっと。
なのに、そいつはそのままその場に居座り、ことりと首を傾げた。

「いっしょにあそばないか」

驚いた。
ああ、これにばかりは驚いた。
対して面識もないというのにいきなりそいつは自分を遊びに誘ったのだ。
驚いた俺は何も返せなくて、そのまま無言を貫き通した。
そしたら、またことりと首を傾げる。

「いやなら、いいんだ」

どうするのか。とこちらを見やりながら、真っすぐにこちらを見てくる。
こんなに長時間見られたのは初めてかもしれない。
そう、見当違いの事を考えて、自分は首を横に振るだけ振った。

「そうか」

首を横に振った事を、そいつは否定ととったらしい。
一つ頷いて、ふと笑う。
そのとき俺は好奇心が湧いたのだ。小さかった。だから仕方のない事だと笑ってすましてやりたい。
ボールを手にしてその場を去ろうとするそいつの服の裾を掴み、足を止めさせる。
いきなりだったせいでそいつはこけそうになったが踏みとどまって、ぽかんとした口元で、こちらを見た。
確かに、見ていた。

「こわくないのか」

そう、その時の俺は聞いた。
他の連中は怖いだのなんだのといって逃げ出したり泣き出したりからかったりするのに、そいつは何の変化も見せなかった。
その反応があまりにも新鮮すぎて、逆に気になったのだろう。
それはそれはストレートに、なんの捻りもなく聞いたことは、ちゃんと耳に入ったらしい。
入ったらしいが、そいつは首を傾げてきた。

「何のはなしだ?」
「おれのかおのことだ」
「かお」
「みんなおれのこと、こわいって言って逃げるのに」

自分でも驚くくらいボロボロと言葉が出た。
気にはしていたし、多少ショックだったせいもあるだろう。
だからといって、初めて顔を併せた奴に言うような話の内容でもない。
反応を伺うように目の前のそいつを見やる。
今思えばそんなにも気になるのならそいつのように顔面に包帯でも巻けばよかったのだ。
じっとその包帯を見つめていると、思わぬ答えが帰って来た。


「わからないんだ」


わからない、とそいつは言った。
わからないとは何だ。俺の顔は確かに存在しているのに、今、お前の目の前に。
からかわれているのかと思い、俺は思わず怒りそうになった。
だが、俺が噴火するより先に、相手は申し訳なさそうに俯いて、言葉を続ける。

「よく、見えないんだ」

だから、お前がどんな顔をしているのかもぼんやりとしか見えない。
そう続けられて、俺の怒りは見事に鎮火した。
見えない。そうか見えないのかと。
見えない奴には俺は別に怖い物でもなんでもなく、ただの普通の人でありえるのか。
見えなければ普通に接してくれるし、普通に話しかけてもくれるのかと。
幼いながらにそこまで考えた俺は、無性に目の前の存在が貴重な物に思えた。
じゃあ、ずっとこいつの目がよく見えなかったら、俺はコイツにだけは拒絶されないのかもしれないと。
ある意味、正しい事を考えながら。

「おれのことどうおもう」
「? ボールをとってくれた。いいやつだ」

ああ、でも。とその後を躊躇いがちに続ける。

「1人でいて、さびしそうだとは、おもった」

だからあの時遊ばないのかと聞いたのか。とここでようやく理解する。
初めてだったかもしれない。
当時の友人たち…今となってはチームメイトだが、彼らも彼らで怖がりはしなかったがからかってはきたのだ。
だから、だからこそ、俺は目の前のそいつに鮮烈な印象を植え付けられた。
他とは違った。他とは違ったのだ。
目の前のコレだけは、自分を最初からすんなり受け止め、あまつさえ「良い奴」だと言い放った。

「…はじめてだ…」
「?」

ぼそりと呟いた言葉はきっとそいつには届いていなかったように思う。
これを手放してはならない気がした。
唯一だ。これはきっと、自分にとっての唯一なのだ。

「どうした?」
「……………なあ」
「?」

首を傾げる。それに自分に対する嫌悪も何もなく。


「やっぱり、おれもまぜろ」


一度は断った彼の誘いに乗ってやった。
すると途端に綻んだ口元を、何故だか必要のない今でも鮮明に覚えている。


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この後グレントに捕まってるベルガを見つけたアイキューが全力で引きはがしに来ます←

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