とりあえずの埋め合わせ [エイリア]


拍手叩いてくださったかたありがとうございます^^*
励みに頑張らせていただきますよ…!!

そんな訳で私のホワイトデー埋め合わせ(殴)オレンジデー第2弾、パーベルです。
アンケート見てみたらいよいよデ様受けが独走態勢に入ってますが(笑)
ゼルデザはメジャーと思っていいのかなぁもうこれwwwウチの中だけですかそうですか…。
でもベルガ受けの需要も増えて来てると見ていいんですよ、ね…!?
悲観的にならないように頑張ります。うす。


と、言う訳でパーベルオレンジデー。続きからどうぞー^^
若干バン←レア要素あり(え)










最悪だ。
何が最悪かというと今の状況が最悪なのだ。
バレンタインデーはバレンタインデー。それは彼女から彼氏に何かを贈るという行事であるから自分は受け身で構わないのだ。
だが、ホワイトデーは別だ。
それはバレンタインデーに貰ったものに対してお礼をするという行事なのであって、
たとえそれが製菓業者の陰謀であろうがなんであろうが世間一般に浸透している限りさけては通れない行事である。
だが、それをよりにもよって完全にスルーしてしまうとは何事だろうか。
いや、例え「悪い。忘れてた」と相手に告げたとしても軽く笑って「やっぱりか」などと返されるだけなのだろう。
悪い意味で頓着がなく、良い意味でおおらかな彼の性格を考えると間違いはないだろう。
しかしそれでは自分のプライドというものが収まらないのだ。何より格好が悪い。
あえてやらなかったというのはまだ良い気もするが、忘れていたのだ。完全に、それはもう気持ちのよいくらいに。
実際ホワイトデーにはきちんとあっていたというのに相手も相手で何も言ってこないのも悪い。
まあ、そういったものを催促するような奴でもないのだが。
今問題なのは「何故忘れていたのか」ではない。
「忘れてしまっていた埋め合わせをいかにして行うか」なのである。




「………まあ、何もでねぇわな…」

1人ぶつくさと何かを考えながら廊下をいつもより遅いペースで歩いて行く。
先ほどからここを何往復もして考えているのだが、いかんせん、何も思い浮かばない。
もはや3往復目に入ろうとしていた時、ふと前方から響いてくる靴音に、思わず顔を上げた。

「バーン様」
「よー。ネッパー」

ひらりと軽く手を振るバーン。
ネッパーの視線は、そちらの手ではなく、もう片方の手に向けられた。
その手の中には、オレンジ色の球体。
ネッパーの視線に気がついたのか、バーンがそれを軽く上へと放った。
すとんと受け止められたそれは、冬場によく見る蜜柑だった。

「どうしたんですか?それ」

バーンには別に蜜柑を持ち歩く習性はない。
そんな当たり前の事を考えながら、再びバーンの掌に収まっているものを指差して問う。
すると、バーンはポンポンとそれを掌で弄びながら口を開いた。

「なんかレアンに押し付けられてよー。『今日は蜜柑の日だからやる』ってよ。んな日あったんだな」
「はあ…」

蜜柑の日。
そんなもの聞いた事もないし、祝っている姿も見た事がない。
世の中にはわかめの日やらクレーンゲームの日などもあるくらいだ、蜜柑の日もいつかには存在するのだろう。
その程度に考えて、ネッパーはバーンに生返事を返すだけに止まった。

バーンと別れた後も、結局何も思い浮かばず、そろそろミーティングの時間ということを思い出し一端考える事を切り上げた。
4往復目に入ろうとしていた足を止め、ミーティングルームへと足を運ぶ。
開けた扉の中では、すでに集まっていたらしいバーラ、ボンバ、レアンの3人が席についていた。
開けた途端にふわりと柑橘系の香りがする。
視線を巡らせれば、部屋の隅に置かれたオレンジ色で中身を埋め尽くしている段ボール箱と、そのうちの一つを食べているボンバが目に留まった。

「本当に蜜柑の日なのか?」
「なッ…!な、なななななんであんたがそれ知ってるのよ!」

呟いたネッパーの一言に、レアンがあからさまに動揺する。
その動揺の意味が分からずに、僅かに眉をひそめたネッパーに、2つ目の蜜柑に手を出していたボンバがレアンに変わって口を開く。
彼の脇にはすでに10個以上の蜜柑の皮が散乱していた。

「俺もバーラからもらってよ。蜜柑の日に張り切ってレアンが蜜柑箱買いしたんだとよ」
「余った奴はボニトナがゼリーにしてくれるって!」
「このまま行くと余らねーだろ。全部コイツが食うぜ」
「20個食ったら止めるつもりだ」
「いや、食い過ぎだろお前」

ボンバの言葉にバーラがもう5つほど箱から持ち出し彼に渡す。
満足いくまで食べさせるつもりなのだろう。
蜜柑が取り出された段ボールを覗けば、ボンバに10個以上食べられた割には一切減っていない中身。
その中の一つを手に取り、手の中で転がす。
ちょうどいいと思った。

「レアン。俺も一個貰うぞ」
「は!?なんでよ!!?」
「こんだけあんだから1個くらいケチんなよ」

そのまま一つの蜜柑を問答無用でもらい、部屋を後にしようとするネッパーの後ろ姿に「ミーティング始まるわよ!」とレアンが食いつく。
その言葉に一端ネッパーは足を止めるものの、さして考える事もせずに、あっけらかんとした表情を向けた。

「今日はパス」
「はぁ!!?」

それだけ言い残すと、ネッパーは他のメンバーに有無を言わさず部屋を出た。









「あ。いた」
「? ネッパー?」

ミーティングルームを後にして、しばらくうろついているとようやく目的の人物を発見する。
かけられた声に、ベルガが反応して振り向いた瞬間、放られるオレンジ色。
反射でそれを受け止めたベルガは、投げられたものを見て一瞬驚いたような顔をした。

「やる」

短いネッパーの言葉に、ベルガの視線が蜜柑からネッパーへ移る。
そして、再び蜜柑の方を見やると、やんわりと微笑んだ。

「オレンジデー、知ってたのか」
「蜜柑の日だろ?」
「まあ、直訳するとそうだがな」

オレンジデーとは、英訳するだけで随分と雰囲気が変わるものだ。
その程度に捉えたネッパーの表情を見て、ベルガが困ったように笑う。

「まさか、知らないでくれたのか?」
「いや、蜜柑の日だろ」
「オレンジデーはバレンタインとホワイトデーに並列する日だ」
「…は?」

ベルガの思わぬ一言に、ネッパーは素っ頓狂な声を上げる。
バレンタインとホワイトデーと、同格。ということだろうか。
だが、そんな日、ネッパーは知らない。
訳が分からないと言いたげにネッパーは眉根に皺を寄せた。


「オレンジデーは恋人にオレンジ、もしくはオレンジ色のものを贈る日だそうだ」


ベルガの言葉に、ネッパーは一瞬反応できなかった。
だが、その間にいろいろな事に合点がいく。
レアンはバーンに気があって、だからバーンに渡すために蜜柑を購入したのだろう。
『蜜柑の日』などと言ったのはおそらく照れ隠しだろう。バーンがオレンジデーを知っていた時は想いを悟られて恥ずかしさで死んでしまうだろうから、と。
だが、バーンがオレンジデーなどという一般に浸透しきっていない日を知っている訳がない。
なのに、レアンの余計な気回しがネッパーにも飛び火した。というわけだ。
よくよく考えると案外恥ずかしい。
別に目の前にいるのは確かに想い人なのであげる事に関しては問題ない。
だが、知らずに渡したというのが、どうもよくない。
気まずくなって僅かに目を泳がせたネッパーを、ベルガは笑う事も馬鹿にする事もしなかった。

「すまない。私はなにも用意してない」

ただ、謝って来た。
別に謝る要素はどこにも見当たらなかったのだが、困ったように頬をかくベルガに、あっけにとられる。
どこまでもお人好しなのだろう。彼は。
そんなことを考えて、すっかり拍子抜けしたネッパーは、いつも通りにニィと笑う。
凹みそうなときに相手をそれ以上落とさないのが、ベルガの凄いところだ。

「じゃあ、それ半分寄越せ」

自分があげたものだというのに、堂々としたもの。
だがそれを咎める事なく、「それでいいのか?」などと真面目くさって聞くベルガもベルガだ。
いいんだよ。というネッパーの言葉に、僅かに笑うともう一度だけすまないと呟いた。
本当は、ホワイトデーを忘れていた自分が一番悪いのだろう。謝らなければならないのだろうに。
これでは、逆だ。
そう思って、思わずくつくつと笑いを押し殺すネッパーを、ベルガは不思議そうに眺めた。



ひとまずは、結果オーライといったところだろう。


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皮剥けと言ったら多分ベルガは白いすじまで綺麗に取ってくれると思います←
どこの女房でしょうね(殴)

あと、凄まじくどうでも良いこだわりなんですがネッパーの二人称を書くにあたって、ベルガだけ「アンタ」呼ばわりにさせるようにしてます。好きな人とその他の区別がはっきりしている。
でもネッパーが他の皆をあまり二人称で呼ばないのであまり生かしきれてないとか、な!


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