パトスの絶叫 [エイリア]


ガゼベル前提のパー→ベル…。ネッパーが報われません。そういうの苦手な人は回れ右^^;
小説書くにあたって大体ダイヤとプロミの関係が仲良かったり悪かったりと定まってませんが、し、しかた、ないと、思って、ほしい、なー!!
今回は比較的仲はいい方。
あとついでにキスまでやってるんでご注意を。やっぱり私の表現力では(以下略)
温い暴力描写もあるんでそういうのが駄目な方も^^;


以上のことがばっちこい。という方は続きからどうぞー…!
そして拍手叩いてくださるかたありがとうございます!励みに頑張りますよ!!











「ガゼル様」とあいつを呼ぶときのアンタは、酷く優しく笑う。
元から優しい人物であるという事は重々分かっていたが、それでも殊更、だ。
そんな光景をたまに見せつけられて、呼ばれた方は優越感に浸るようにこちらを見てせせら笑うのだ。
呼んだアンタは、こっちの心境になんて気づきもしないで、ただただ、嬉しそうに笑うのだ。
自分のチームのリーダーが嫌いな奴なんていない。
好いてなかったらそのチームに入ろうとも思わないだろうから。
だから、アンタはああやって嬉しそうに笑うのだ。
だから、アンタはそうやって優しく笑って彼を呼ぶのだ。
そう思うしかなかったのだ。そうしなければ、自分がどれだけ惨めになる事か。
そんな自分の黒い感情に気づいたのは、ごく最近だったりもする。
練習試合として頻繁に試合をするダイヤモンドダストとプロミネンス。
その相手チームのゴールキーパーと、自分のチームのフォワードなのだから、ぶつかり合うのは自然な事で。
ネッパーが蹴ったボールを、ベルガが受け止めたり、受け止めきれなかったり。
そんなことは、日常茶飯事。最初は別に気にもとめていなかったのに、
人というのは不思議なもので、何回か接触を繰り返せば自然と相手に興味がわいてくるものなのだ。
ふと、フィールド上でしか知らないベルガの事が気になった。
ただ、それだけ。
カオスとしてのメンバーが選抜された時、ダイヤモンドダストに所属していた奴に、なんとなく聞いてみたのが事の始まりだった。
話を聞けば、ウチの凶悪な面をしたゴールキーパーに比べて随分温厚なようだった。
さらに興味がわいて、突き詰めて聞いてみようとすると、相手は苦笑しながら呟いた。それが、多分始まりだ。

「でも、あんまり深入りしない方がいいよ」

なんでだ。と問うと、頬をかいてある人物を見やった。
言いにくそうに、ただ、ただ、事実だけを告げる。




「ベルガはさ、ガゼル様のお気に入りだから」





最初はそれを聞き流す程度に聞いた。
だけれども、一度気にしてしまえばどうしても目はそれを追ってしまう。
ベルガがいるところには、はりつくようにガゼルがいて、
なにをするにしても、ガゼルは決してベルガを離そうとしなかった。
ベルガもベルガでそれを許容しているのが何とも言えない気分になる。
最初は僅かにもやもやする程度だったのだが、見てしまったのだ。

彼が、ガゼルに向ける他の人へのそれより優しい笑顔に。

途端に、何かどす黒いものが自分の中で渦巻いた。
人のものだと分かったら、今まで以上にそれを欲するようになる。
そんなこと、ある訳がない。などと思っていたのに、そんな口も今では聞けない。

これが、嫉妬だ。と気づいてしまったから。











彼は、優しく笑うのだ。
目元なんて見えないくせに、その奥の瞳まで優しげに笑っているような気がして。
酷く安心させられるそれが、多分自分は好きだったのだろう。
自分に向けられるものでなくても、見ているだけでも安心していたのに。
なんで、どうして。

「ネッパー」




アンタは、俺に向ける笑顔と、あいつに向ける笑顔を、使い分けるんだ。




「……どうした…?」

話しかけても何の反応も示さないネッパーを不思議に思ったのか、ベルガが首を傾げてネッパーを覗き込む。
何も分からない。何も知らないのだろう。当たり前だ。何も言ってないのだから。

「…アンタさ」
「?」
「ガゼル、好きなのかよ」

吐き捨てるように呟かれた言葉に、ベルガがあからさまに動揺する。
それだけで、十分だった。
それだけ、で。

「……っ!!?」

一瞬だった。
ネッパーの鍛えられた足でベルガの足下を払うと同時に、彼の胸倉をつかんだ。
とっさの事に反応しきれなかったベルガが、そのままの勢いで倒れ込む前に廊下の壁に叩き付け、ネッパーはそのまま詰め寄る。
一瞬にして、壁際に追いつめられ壁を背にして座り込んだベルガの胸倉を掴んだまま、逃がさないようにその上に馬乗りになるという状況を作り上げる。
…ベルガよりも明らかに体格の小さいネッパーが、だ。
その事実と、突然の出来事に呆然とするベルガを、ネッパーは射殺さんばかりの目で睨みつける。
その目は、やり場のない怒りと、様々な想いがないまぜになって、どこまでも暗かった。

「…ネッ、パー…?」

どうして。そんな意味合いを含んだ言葉だった。
ネッパー自身、何をどうしてこんな事をしているのか分からなかった。
ただただ、悔しくて腹立たしくて嫌で、どうしようもなく、どうしようもなく、

目の前の人物を、好きでたまらなかった。

「ネッ…」
「五月蝿ぇッ!!」

吠えるように吐き出された言葉は、想いとは裏腹に拒絶だった。
好きで好きでたまらないのに、彼は自分のものにはならないのだ。
そんな不条理ないだろう。そんな横暴、あるわけがないだろう。
そんな、全てに対する、拒絶だった。

「うるせぇ…ッ!!」

ガッ、とベルガの胸倉をつかみあげる手で、そのままベルガを壁に叩き付ける。
鈍い声が聞こえたが、おそらくベルガが頭を打ち付けたのだろう。
八つ当たりなのは目に見えていた。しかも、その相手がよりによって。
感情のコントロールが上手くいかないまま、おそるおそる顔を上げると、目隠し越しにベルガがこちらを見ている事がよくわかった。
見るのが辛くて、ベルガの胸倉をつかむ手に、力を込める。
きっと、彼のユニフォームの布が間になければ、今頃掌から血でも滲んでいるだろう。
それほど、きつく、きつく握りしめる。

「……ネッパー…」

何度も、名前を呼ぶ彼の声。
同時に不意に頬に触れる彼の手を感じて、思わず顔を上げた。
キーパーグローブの感触は、硬質なものだったが、酷く温かいように思えた。
何かをさするような仕草をした後、彼は、笑うのだ。

こんな状況で、彼は、こんな状況を作った元凶に向かって、笑うのだ。


「……泣くな」


言われて、何の話だ。と思ったときには、自分の涙で彼のユニフォームにシミを作っていた後だった。
傷つけて、いきなり怒鳴るように八つ当たりをして、そんな相手をベルガは気遣っていた。
何かをさすっていたように感じた仕草は、自分の涙を拭っていたのかと、そこでようやく理解する。
泣きたい訳じゃない。泣きたい訳ではないのだ。
想いとは裏腹に、ボタボタとみっともなく流れる涙は止まらない。
自分は、ただ、彼に。

「ネッパー」
「…るせぇ…」
「ネッパー」
「うるせぇ…」
「…そんなに、泣くな」
「…うるせぇ…っ…!」

いつまでも、いつまでも、自分を気遣うように話しかける彼の声を聞くのが辛くて、噛み付くように唇を奪う。
ネッパーの頬に触れていたベルガの手が、あからさまにびくつくのを感じて、ネッパーは奈落に突き落とされた気分になった。
やってしまった。ああ、やってしまったのだ。
好きだった。多分、最初から好きだった。
好きでたまらなかった。なのに既にアンタは俺以外の誰かのものだった。
こんなに好きなのに。こんなに、好きなのに。
だから無い物ねだりをして、上手く行かないことに不満を抱えた結果が、きっとこれなのだろう。
最低だと軽蔑してくれれば良かった。
なのに、アンタはやっぱり優しく笑って俺の事を許そうとするのだ。
慰めようとするのだ。
俺が泣いている理由が、アンタのそう言うところだって事に、気づく事もなく。
これ以上優しくされると、気が狂いそうだ。
アンタが欲しくなる。奪っても、アンタの意中の人を殺してでも。
そうしたらきっと、アンタは怒るだろう。その時こそ、俺の事を憎むだろう。
そう思うのに、怒ってるアンタが想像できないんだ。
アンタ、優しすぎる。優しすぎるんだ。

「…っ…ね、…ぱ…!!」

殴るなり蹴りとばすなり、すれば良いのに。必死になって口で抗議しようとする彼に、しゃべるなと言わんばかりにより一層深く口づける。



それ以上しゃべってほしくなかった。


このままだと、アンタの優しさで、きっと俺は殺されるから。




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なんかごめんなさいだ…orz 嫉妬おいしいです(もぐもぐ)

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