ステップ・バイ・ステップ [土受け]


5万打リクエストでいただきました「一土で二人がアメリカに行ったときの話」です^^
リクエストしてくださった方のみお持ち帰りOKですんで、煮るなり焼くなりお好きにどうぞ!!
いろいろ詰め込んだらなんかいまいちまとまりきってない文章になってしまった…!orz



続きからどうぞー^^
ギャグテイストです(笑)




思えばこれは至極当然の流れだったのかもしれない。
アメリカのジュニアサッカーの代表に選ばれていた一之瀬がなんだかんだで日本に居座り続けてかなりの時間が経った。
だから、一之瀬がいきなり「アメリカに帰る」と言いだしたときには「ああ、やっぱりか」という気持ちくらいしかわかなかった。
きっと、自分は心のどこかで一之瀬がまた遠くへ行くという事を理解していたのだろう。
そのおかげで、みっともなく「なんで」だのなんだのと噛み付く事もなかった。
そういった類いの覚悟が出来ていたからこそ、一之瀬の次の言葉に、必要以上に驚いた訳なのだが。



「土門も、一緒にだよ?」



たった数文字のその言葉に、土門の覚悟も何もかも、一気に消し飛んでしまった。









「…いや、まさかだなぁ」
「何が?」

アメリカ行きの飛行機の中で、読んでいた雑誌から視線をあげてぼやいた土門の言葉に、先ほどから外の景色ばかり眺めていた一之瀬が振り返る。
見える景色は雲と青空ばかりで、最初に一度、楽しいのか?と聞けば楽しい。と笑顔が返って来た。
そんな一之瀬が、今度は空へ向けていた視線を土門に送り、言葉の続きを待っている。

「まさか俺もまたアメリカに行くとは思わなかった…」
「何でさ」
「いや、なんでって…」

土門は正直、サッカーでは一之瀬に勝てないと思っている。
今まで、むしろ目標として追い続けてきたその彼が選ばれたアメリカ代表。
彼レベルの選手が選抜されるのならば、自分はきっとその代表になることはできない。
そう、ずっと思っていた。
なのに、自分は今アメリカ代表としてサッカーをするために、その地に向かっている。
何故だが、もの凄く不思議な気分だった。

「俺、一之瀬ほどサッカー上手くないし」
「……」
「今でも追い越せた気もしないし」
「……」
「…なんて言ったら良いんだろうなぁ…」

謙遜でもなんでもないのだ。純粋な自分の気持ち。
嬉しくないわけじゃない。でも、手放しに喜べるほど、納得はしていない。
自信がないわけじゃない。でも、胸を張れる訳でもない。
複雑すぎる気持ちに、どう名前を付けたら良いのかも分からずに、はは。と笑う。
その表情を、一心不乱に見つめながら、一之瀬は口を開く。
さも、当然のように。

「土門はさ、土門自身が思ってるより凄いんだよ」

どうして分からないかなぁ。そんな事を言いたげな目で、土門を見やる。
その視線にどう返していいか分からず、土門は一瞬きょとんと目を瞬かせた。

「俺は土門が十分凄いプレイヤーだって知ってるし、追い越すとか、追い越せないとか、関係ないよ」

自信を持って、にこりと笑う一之瀬に、土門はそれでもなお渋い顔をする。
なかなか納得してくれない土門に、一之瀬も思わず眉根に皺を寄せて唸る。


「俺はさ、嬉しいよ。土門と一緒にこれからもサッカーできて」


俯いていた視線をあげれば、やはりそこには楽しそうに笑う一之瀬の姿。
嬉しい。と手放しで言うその笑顔は、土門も同じことを思っていてくれていると信じ切っている顔。
…そうだ。嬉しいんだ。結局のところ。
いろんな昔からの葛藤とか、なんだとか。ぐちゃぐちゃの気持ちの向こうには、結局一つしか残ってなかった。
追いつくとか追い抜くとか。どうだっていい。
並んで駆けて行く楽しさを雷門で知ったから。そう、出来るようになったから。

「…悪ぃ。一之瀬」
「分かればいーんだよ。分かれば」

なんだかばからしくなって、笑いながら謝る。
主語なんてなかったが、一之瀬は全て分かっているかのように笑顔で頷いた。






「に、しても。お前日本に残る事決めてからあっちチームの皆にちゃんと連絡入れてるのかよ?」
「…あー……」

ようやく落ち着いた時に出て来た疑問は随分と昔の事。
土門の質問に微妙な顔をする一之瀬に、思わず土門は焦ったように声を上げた。
もちろん、機内という事で控えめではあるのだが。

「お前!連絡入れてないのかよ!?」
「い、入れたって!!電話もしたしメールも入れたし手紙も書いた!!」
「…なんだよ。ちゃんと連絡してんじゃん」
「……でも、さ。まさかこんなに長引くとは思ってなかったから、さ…数ヶ月で帰るって、言っちゃった…」

固まる空気。

「……数ヶ月で」
「うん」
「それ以降連絡は」
「怖くていれてません」

冷や汗をだらだら流しながら呟く一之瀬に、あのなぁ!と思わず怒鳴りかけたが、すぐさま口を噤む。
これは自分がしかるよりも、チームの皆に一喝してもらった方が良いだろう。そう判断したからだ。

「…ど、どうしよう…土門が掘り返すから不安になって来た」
「覚悟しといた方がいいだろうなぁ」
「………ディランあたりに殴られそう」
「笑顔でな」
「……………うわぁ。リアルに想像できて怖い」
「ま、自業自得だな」
「土門!」

その時は助けてよぉ!という一之瀬の悲痛な叫びが、機内にこだました。










「hey、一之瀬。ちょっと一発殴らせろ」
「…やっぱり…」

アメリカの空港で、機内で予想していた光景が広がる。
拳を握りしめるディランは目元こそ見えないものの、良い笑顔を浮かべているに違いない。
空港まで出迎えに来てくれていたマークとディランを見つけ、近寄った途端にこれだ。
昔となんら変わってなくて、なんだか安心した。
何も変わっていないのに、妙に新鮮な気がするのは、自分の心構えが変わったからだろうか。それはわからない。
すがるような一之瀬の視線を手を振る事でやり過ごせば、絶望的な表情を浮べられる。
申し訳なさを感じながらも、ディランに追いつめられていく一之瀬を苦笑で見守っていると、
不意にトンっ。と誰かが肩にぶつかってくる感覚。
視線を向ければ、嬉しそうに笑う懐かしい顔があって、おもわず土門は顔を綻ばせた。

「マーク!元気そうで何よりだ」
「土門。久しぶりだな」
「ディランも変わりなくて安心したよ」
「一之瀬はもう少しこまめに連絡を入れるべきだったな」
「いやぁ。申し訳ない」
「なんで土門が謝るんだ」

ごつん。という小気味良い音をBGM代わりに、二人で談笑を始める。
少し心配になってみて見れば、なんだかじゃれ合いのようになっていたので問題はないだろう。
しかし、しばらく経てばいい加減疲れたのか逃げるようにこちらへやってくる一之瀬の後を追うようにディランも寄ってくる。
まさかここまで手荒い歓迎をされるとは思っていなかったのだろう。一之瀬は若干涙目だ。

「助けてくれよ土門!」
「だーかーら、自業自得だっつーの」
「そうだ!連絡入れないお前が悪いんだよ!!」
「入れたじゃん!」
「日本に向かった数日後と、こっちに帰ってくる数日前だけな」
「これは入れたって言わねーんだよ!」
「ギブギブギブ!!」

後ろから首を締め上げるような形で絡むディラン。本気ではないようなので誰も止める事はしないが、一之瀬の表情は苦しそうだ。
一之瀬が悶え苦しむ中、何かを思いだしたかのようにマークが携帯を取り出し、その画面を一之瀬に突きつける。
どうやら、日本を発つ前に一之瀬がマークに送ったメールを見せられているらしい。
画面を覗き込もうとしたが、光の反射のせいで土門からはよく見えない。
だが、そんなことは関係なく、マークが読み上げた文面に、土門は面食らうことになる。



「そもそも、なんだこれ。『過去のしがらみもとれたので、フィアンセも連れて行きます』って」
「おう。そうそう。てっきりアキのことかと思ったぜ」



二人の言葉にぎょっとして、一之瀬を見れば、「いやぁ」なんてどこか幸せそうな顔。
そんな一之瀬の表情に、マークとディランの視線が一気に土門に集まった。
いたたまれない。すごく、いたたまれない。視線が痛い。


「………い、一之瀬ぇええ!!!」
「わぁああああ!!」



恥ずかしさを誤摩化すために、思いっきり一之瀬の頭をしばいてやった。



*****************************
リクエストありがとうございました!!は、果たしてご希望にそえられたのか…!
とりあえず、一之瀬は一度アメリカの誰でもいいんで誰かにはしばかれるべき^^←

たった二言の台詞からマークとディランのキャラを完全に把握するのは私には高等すぎました…orz
別人になったきがしてならねぇ…アメリカ代表で二次創作されてる方すげぇなぁ…。

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