しあわせ方程式 [エイリア]


バレンタインリクエスト消化第4弾!これで全部消化した…はず…!
キューベルになりますー^^
「キューベル」でリクエストしてくださった方のみお持ち帰りOKです。無断転載は止めてくださいね!!万が一サイトなどに(以下略)
これで当サイトのバレンタインは終了になりますが、「リクエストしたのに書かれてねーぞ!」と言う方いらっしゃいましたら拍手ででも訴え出てくださいませ…!

拍手空パチの方ありがとうございます^^励みに頑張らせていただきますー!!


と、言うわけで折り畳みでどうぞー。












好きだって、言われたの?と聞いたら、
真っ赤になって何も返してもらえなかった。


好きだって、言ったら?と聞いたら、
言える訳ないだろう。なんて真っ赤になって怒られた。



お互いがお互い大好きなのに,変なの。と首を傾げるあたしは、ただの傍観者であるつもりだった。







「兄さん。バレンタインだね」
「…あ、ああ。そういえばそうか」

嘘だ。
今気づいたような顔してるけど、1週間くらい前からカレンダーを気にしてたのを知ってるのは多分あたしくらい。
兄さんは誰かからのチョコが欲しいんだって、それを分かってるのも、多分あたしくらい。
気にしない素振りを懸命にしている兄さんに、あたしは頬杖をつきながら声をかけた。

「兄さんチョコ欲しい人とかいないの?」
「…………………いないよ」

嘘。
嘘付くときに間をあける癖、直した方が良いと思う。

「あたしね、今度クララとリオーネと一緒に皆のためにチョコ作るんだ」
「へえ。アイシーからもらえるなら楽しみだなぁ」

半分、嘘。
兄さんは確かにあたしからのチョコを毎年嬉しそうに受け取ってくれる。
けど、今年は本当に欲しい人が、いるくせに。

「…兄さん、好きって言えば良いのに」
「っっっ!!?」

この反応は本当。
驚きすぎて手に持っていた本が真っ逆さまに落ちて兄さんの足に当たった。
痛そうに悶える兄さんに、ため息しか出ない。
あたしたちは、小さい頃こそ普通だったけど、少し大きくなってから普通の子たちとはかけ離れた生活を送って来た。
愛だとか恋だとか、そんなものに構ってられないくらいの日々。
だから、多分兄さんは分かる事に関してはすごく頼りになるのに、分からない事にはとことん駄目になる。
そんなだから、今、こんなになってるんだ。

「言わなきゃ絶対気づかないよ?ベルガ鈍いもん」
「あ、ああああアイシー!!なんで、それ!!」
「分かるわよ。兄さんの妹だもん」

昔から仲はよかった。
最初に気づいたときは兄さんを取られるかも。と思って不安になったりしたけれど,
今ではベルガなら良いかな。なんて思ってる。
あたしだってベルガは好き。でも、兄さんが思ってる好きとは違うもの。

「………言えないよ」
「なんで?」
「だって、どうしていいか、わからない」


情けない声を出す兄さんに、何も返せなかった。
兄さんは、分からない事に弱いってこと、よく知ってるから。


















次の日の朝、あたしはリオーネやクララより早く準備を始めようと思ってマスターランク共用の調理場へと足を運んだ。
あたしは料理があんまり得意じゃないから、せめて準備で頑張らないと。と思ったから。
勢い良く調理場の扉を引っ張ったら、思わぬ人と視線がかち合った。
青いエプロンして、腕まくりして、手際よく何かを作ってたらしい、ベルガと。

「おはよう。ベルガ」
「…あ、ああ。おはよう。アイシー」

固まっているベルガを気にしないで、アイシーはベルガの元へ駆け寄る。
手元を覗き込めば甘い匂い。チョコレートだってすぐに分かった。

「何作ってるの?」
「…………あ………っと……」
「兄さんにあげるの?」
「!!?」

ストレートに聞けば、ベルガは危うく手に持っていたボウルをひっくり返しそうになった。
兄さんの反応に凄く似ている。
ベルガだって兄さんが好き。見てたら誰でもすぐ分かるのに、兄さんは気づかない。
徐々に冷静になったのか再びボウルの中身をかき混ぜ始めるベルガの顔は真っ赤だ。
もう一度、あげるの?と聞けば、言葉は返してくれなかったけど、真っ赤になって一つだけ頷いてくれた。

「バレンタインだもんね」
「あ、ああ」
「大丈夫よ。ベルガの作るもの、皆おいしいもの」

前にお腹がすいたと呟いたあたしに、簡単に食べるものを作ってくれた事がある。
その時食べたそれは凄くおいしかったから、ベルガは料理上手。

「きっと、良い奥さんになるわよ」
「…は…!!?」

思ったままのあたしの言葉に、ベルガはボウルを抱きかかえて、声をひっくり返して言葉を返した。
多分、驚いた上に照れてるんだろうな。
ベルガはあたしよりも兄さんよりも大きくて強そうなのに、たまに可愛いところがある。
多分、兄さんはそこが好きなのかもしれない。他にも多分、いっぱいあるんだろうけど。

「…受け取って、もらえるだろうか」

ぽつりと呟かれた言葉に、あたしは首を傾げた。
貰ってもらえない訳がない。だって、兄さんはベルガの事が大好きだ。
そう思って、そういえば兄さんは好きだってまだ、言ってなかったんだって思い出す。

「大丈夫よ」
「…ありがとう。アイシー」

ベルガが困ったように笑いながらあたしの頭を撫でた。慰めだと思われたのかもしれない。
違うのに。本当なのに。どうして二人して自信なさそうな顔をするんだろう。

「大丈夫よ。上手く行くから」
「…だといいんだがな」
「大丈夫よ。なんでベルガはそんなに後ろ向きなの?」
「…好きになってもらえる要素が、見つからない」

違うのに。
違うのに。

言わないから、言ってもらえないから、そんな風になっちゃうんだ。

だったらあたしが力になるから。
二人の悲しそうな顔は、見たくないから。
あたしは2人とも大好き。二人もお互いの事が大好き。


だったら、絶対に、幸せになれないわけ、ないんだから。










バレンタイン当日。
兄さんとベルガは、廊下で偶然出会って、そのまま固まっていた。
軽い言葉は交わすけれど、肝心の事は何も言わない。
なんでこんなにやきもきするんだろう。なんであたしがドキドキしてるんだろう。
…当たり前かもしれない。だって、兄さんにここを通れって言ったのはあたし。
ベルガがここを通るって知ってて、言った。
だって、そうでもしなきゃずっとすれ違う気がしたから。
そんなの悲しすぎるから。


だから、あたしがヒントをあげるんだ。



「…アイキュー、」

先に動いたのはベルガの方。
兄さんの動きが止まった事なんか気づかないで、手に持っていた袋を差し出す。
兄さんはそれが何なのかわかってない。絶対分かってない。だってそう言う顔してる。
ベルガは真っ赤なのに。気づかない。彼が俯いてるからかもしれない。
受け取って、中身を見て、それがなんなのか気づいたとき、兄さんも真っ赤になった。

「…わ、悪い…とにかく、その…」
「…あ…」
「……ッ!何でもない!」

何か言いかけて、ベルガがきびすを返そうとする。

「ッ!待って!」

その手を、兄さんの手が掴んだ。
もう、分からないなんて言わせない。どうしたらいいか、なんて言わせない。
分からなかったら、兄さんは頭よくもなんでもない。

「……アイキュー…?」
「好きだよ」

あたしはよく知ってる。兄さんの妹なんだから。

「好きだ。大好きだ。ずっとずっと前から、ずっと、」
「……ッッッッ!!」

あたしは、知ってる。


「俺はベルガが好きだ!」


兄さんは、分かる事には、凄く強いんだって、こと。




「………うん。ごめん。なんか暴走した」
「い、いや…」
「でも、好きなのは本当だ。俺はベルガが好きだ」
「ッ…」
「気持ち悪いかもしれないけど、嫌いな要素が見つからないんだ」
「……物好きだな」
「ああ。物好きかもしれない。けど、いいよ。それでも」
「そうか」


兄さんより背の高いベルガを、兄さんは力一杯抱きしめた。
ありがとう。と呟くように聞こえた声に、あたしは嬉しくなる。
兄さんはベルガが好きで、
ベルガも兄さんが好き。
あたしも、2人が大好き。





ほうら。


幸せに、なれたでしょう?






**************************
上手くリクエスト通りの雰囲気が出せたかが…すごく…心配です…。
気づけばアイシー視点。予想以上にベルガが乙女である^q^
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