暖色 [鬼受け]


久々に源鬼!


今日でもう、今年が終わるとか…信じないんだから…!!
クリスマスで精根尽きたので年末は何もしませんよ。
年明けにはイラスト一枚くらい投下する予定ですが。
なんにせよ皆様良いお年を…!






12月もなかほどになれば、寒さは一層厳しさを増す。
木枯らしが吹き荒れる中コンクリートで舗装された道を歩けば、さらに寒さが増す気がした。

「さっみぃ…!」
「さすがにもう冬もまっただ中だからな…」

肩を震わせ、源田が半ば叫ぶように声を上げれば、隣を歩く鬼道も静かに頷いた。
学校指定のコートは確かにあるが、何故だか未だに使用許可は降りていない。
一体家の学校の冬の基準はどこにあるんだと文句をいえども寒さはどうにもならない。
風さえどうにかなってくれれば多少は暖かいのだ。
だが、願ったところでどうにもならない事も知っているので、それに関する文句は言わない。
隣を見れば、鬼道もまた寒そうに手をこすり合わせていた。

「コート解禁はまだか…」
「ただの連絡不行き届きか…それとも本当に降りていないのか…」
「降りてないのはおかしいだろこれ!」
「いや、先週まではまだ暖かいほうだったぞ」

確かに鬼道の言う通り先週は暖かだったように感じる。
かと思えば今日のこの気温の下がりよう。体調を崩すものもいるのではないだろうか。
再び巻き起こる風に、身を震わせる。
隣で,鬼道の羽織っているマントがはためいた。

「…そのマント、あったかいのか?」

疑問に重い、鬼道の赤いマントを指差し問えば、
風にはためくマントを引き寄せ、鬼道が一つ頷いた。

「ある程度の風はしのいでくれる。着けているだけ暖かいぞ」
「いいな。それ」

コート解禁になるまで俺も着けてこようかなぁ。なんて笑いながらいう源田を横目で見ながら、鬼道は何かを思案するように俯いた。
そして、僅かな間を置いて、自分のマントを指差し訪ねるように首を傾げる。



「着けてみるか?」



素直にそう思ったらしく、何のためらいもなくマントを外して差し出す。
それをぽかんと見つめる源田の前に赤が広がった。

「……いや、お前が寒いだろう」
「構わない。俺よりお前の方がよっぽど寒そうだ」

いいから。と押し付けられたマントを受け取り、もう一度念を押して「いいのか?」と問えば、鬼道は確かに頷いた。
色として見ても暖かなそれは、まだ僅かに鬼道のぬくもりを帯びていて、
源田はじゃあ。と風にはためかせながらそれを羽織る。
ばさりという軽快な音と共に、鬼道のマントは源田を包んだ。

「あ。肩は暖かいな」
「だろう」
「でも、お前のサイズだから少し短い」
「…馬鹿にしているのか?」
「違う違う!!」

慌てて手と首を振る源田。なんだかそのやり取りが馬鹿馬鹿しくて、思わず吹き出してしまった。
ひとしきり2人で笑った後、再びぶわりと強い風が吹く。
ばさりと煽られるマントと、源田の髪が風に遊ばれ踊る。
顔をかばうように上げられた腕が彼の顔に影を指す。細められる目。
その姿に、鬼道の視線が思わず釘付けになる。

「…鬼道?」
「っ!」

動かなくなった鬼道を心配に思ったのか、源田が鬼道を覗き込む。
それにより我に返った鬼道が、ぶんぶんと強く首を振り、なんでもないと歩き出す。

「…大丈夫か?」
「問題ない。大丈夫だ」
「………?」

先先と進んでしまう鬼道を、源田が早足に追う。

言える訳がないだろう。
さっき見た源田の横顔に見惚れていたなんて。
不覚にも、格好いいと思ってしまったなんて。


内心を悟られないよう、鬼道はどんどん先へ行く。
だが、後ろから見たときに彼の耳は真っ赤になっていて、
それが寒さからなのか、それとも別の物からなのか、源田は分からず首を傾げた。


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