窓の外眺めて見つけた [鬼受け]


いい加減エイリアが続き過ぎだと思い、一端ぶった切るために久々の源鬼。
もう、エイリアのカテゴリ作ろうかなぁ…
タイトルの方は「偽笑ピエロ。」さんからいただきました。 URL:http://090521.web.fc2.com/
『叶わぬ恋で10のお題』より。…いえ、叶わぬ恋ではないのですが(爆)


では、続きからどうぞー。






無遅刻無欠席は、いい成績を取るにあたっては案外重要。
今日も早めに校門をくぐった鬼道が教室に入ったところ、まだ人もまばらだった。
片手の指で足りるほどの人数をぐるりと見渡し、自分の席に着く。
始業時間まではまだまだ余裕があった。



始業時間20分前にもなれば、さすがは帝国と言ったところか。
ほとんどの生徒が教室にそろい、鬼道が登校したときと比べて酷く賑やかだった。
鬼道よりも10分遅くついた佐久間と会話をしながら時間をつぶす。
今日はテストの類いもないため、この時間を利用して勉強をする必要もない。
それ以前に、今日の予習復習はすべて家で済ませて来た。
部活の話や他愛もない話まで様々な話題を佐久間は持ってくる。
今日、鬼道さんと喋りたい事リストを作って来たんです!などと得意げに語る彼に、どう反応を返せば良いのだろう。
そんな佐久間と話をしながらも、鬼道の意識は未だ埋まらない斜め後ろの席に向けられていた。




始業開始5分前。
さすがに授業がそろそろ始まるという事で皆が席に着き始める。
何に対しても厳しい帝国では5分前行動が基本だ。
しかし、鬼道が気にする斜め後ろの席は未だにがらんどうで。
自分が遅刻をとられるわけではないのに、酷く不安になる。
せわしなく視線を時計と斜め後ろの席へ行ったり来たりさせた。




始業開始3分前。
早い教室は教師が教壇に立っている事だろう。
だが、幸いにも鬼道の教室にはまだ教師の入ってくる気配はない。
しかし3分前ともなれば完全に遅刻を取られてもおかしくはない。
鬼道は一つため息を吐いて、無情にもミリ単位で時間を進める秒針を見やった。
もう、来ないのかもしれない。斜め後ろを見て、再びため息。
やることも見つからず、何気なく眺めた窓の外。
見慣れた茶髪の髪を揺らして、全力疾走する、影。

「あ」

始業開始2分前。
帝国学園の無機質な通路を必死の形相で走る人。
寝坊したのか、それとも交通手段でなにかトラブルがあったか。
だが、どちらにせよかなりぎりぎりだ。
鬼道は思わずその人影を食い入るように見つめる。
懸命に走る彼が、鬼道から見えなくなりそうなギリギリで、ふと、立ち止まる。
交わる視線。
お前はエスパーかと思い、ゴーグルの奥で目を見開いていると、
ニカリ、といつも通りの笑顔。走ってきたせいで肩で息をしているものの、
実にいつも通りな彼の表情。
何かを喋りながら、こちらに向かって大きく手を振る。
当たり前だが聞こえる訳がない。だが、多分「おはよう」と言っている気がする。
自分はエスパーではないので分からないが。
遅刻しそうだというのににこやかな彼にため息をつきながら、軽く手を振る。


そういうのはいいから、さっさとここまで来い。


と、内心苦笑しながら。

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