夜明けを連れて [鬼受け]


最近ゲームの話題に触れてないのはポケモンにかまけてばかりだからです。
…こ、こっちもレベルがあがりやしない…!!
連休ももう2日を残すのみとなった訳ですが…あれこれ連休中にクリアできるのか…?
チームレベルはとりあえず42。
低レベルな高杉が先頭メンバーに入っているので若干落ちてます。
…い、行けるかな…!!やれるかな…!!
鬼道さんが本当にレベル上がらなくて困ってます。周り皆44だよ!まだ41って!!
クリアできたら俺ブンでなんか絵とか書きたいです。


続きから源鬼。ゲーム設定でシリアス。8章くらいでしょうか…。
2?真帝国?なにそれおいしいんですか。
…というわけで平然と源田が退院して普通の生活送ってます。
それでもいい方はどうぞー。










『影山も、お前と同じ事を言ってたぜ』


嫌だ。


『お前も、影山のように…』


嫌だ。











真夜中の2時。突然震え始めた携帯に、無理矢理起こされる。
源田は鈍った思考回路のまま、無意識に携帯を手に取り、ディスプレイを確認する。
そこに浮かぶ2文字の名前を見て、源田は一気に覚醒した。
慌てて、通話ボタンを押す。

「…どうした。鬼道。こんな夜中に…」
『……………』
「鬼道?」

無言。
どれだけ待っても、どれだけ話しかけても、無言ばかりが返ってくる。
鬼道はよっぽどの事がない限り、電話等は利用しない。
だからこそ、何かあったのだろうと慌てて電話に出たのだが、何か様子がおかしい。
沈黙の中に、ギリギリまで張りつめられた何かがある。
源田は一気に不安に襲われた。何かあったのだ。これは。

「鬼道」
『…………』

やはり何も語らない鬼道に構わず、源田は続ける。

「今、そっちに行く」
『………!』

何か、言おうとしたらしい。空気の震える音が電話越しに聞こえた気がした。
だが、それを気にする事なく、源田は携帯を通話状態にしたままベッドに放り、
手早く身支度を整え家を飛び出した。






「鬼道…」

鬼道の家の前まで走って行くと、門の前に鬼道はいた。
源田の言葉を聞いて、本人も出て来たようだ。つまり、迷惑ではなかったということ。
通話状態だった電話を切り、鬼道のそばに歩み寄る。
躊躇いがちに、顔を伏せられた。

「鬼道……」

やはり鬼道はなにも話さない。
無言のまま、拳を固く握っていた。
その様子を見て、会いに来てよかったと源田は確信する。
電話越しでは、鬼道の表情までは掴めない。
まさか、こんなに悲痛な表情をしていたなんて、あのままでは分からなかった。

「鬼道。歩こう」

手を、そっとのばす。
伏せられたままの顔が、目が、僅かに源田の手を見やる。
しばらくすると、鬼道は控えめに、源田の指先を掴んだ。


「……何か、あったのか」
「……」

とぼとぼと、誰もいない、なんの騒音もない道を歩く。
2人だけ隔離されたような空間で、2人の足音だけが響く。
源田はそれ以上追求しなかった。
何か話したいからこそ、鬼道は電話をして来た。そう、思っている。
あんな夜中にかけてきたのだからおそらく「できれば聞いてほしい」ということ。
だが、プライドの高い鬼道が簡単に弱味を見せる気はしない。
だからこそこの時間帯なのかもしれない。

「……俺は…」

ぽつり。とこぼされた言葉。
突然止まった鬼道につられ、その一歩前で源田も立ち止まる。


「…俺は、総帥から逃げられないのだろうか」


何もない空間に、その声はよく響いた。

鬼道は、これまでにないほど、悲痛で顔を歪めていた。
源田は思わず言葉に詰まる。
一体、雷門で何があったのだ。

「…総帥の元チームメイトに『お前と影山は同じだ』と言われた。
 俺は、総帥のやり方に納得できなかったから、総帥の元を離れたというのに」
「鬼道…」
「何も、変われないのかもしれない。
 変わろうとするのに、俺は俺自身の考えの元に行動しているつもりなのに。
 それさえも、影山の受け売りだというのなら……」

鬼道が、顔を上げる。


「…俺は、俺のサッカーは、どこにあるんだろうか」


泣きそうな顔だった。
いや、もう泣いているのかもしれない。ゴーグルのせいでそれがわからない。
だが、これまでにないほど打ちのめされた表情をしている鬼道を見るのが、たまらなく辛い。
源田は思わず鬼道を抱き寄せた。
崩れ込むように源田に抱きしめられた鬼道が、嗚咽をかみ殺す。
こんなに、こいつは小さかっただろうか?

「鬼道…」
「俺は俺のサッカーがしたい。俺自身も、チームメイトも、皆が納得するようなサッカーが」
「ああ、知っている」
「なのに、俺の考えは2年のうちで完全に影山に飲み込まれていた。
 自分の考えを取り戻そうとしても、うまく、思い出せないんだ。
 勝つためだけじゃない、本当に楽しかったサッカーが」
「……鬼道…」
「源田…俺は、どうすればいい」

怖い。
怖い。
総帥のように、なってしまうのが。
あんなに、サッカーが好きだったのに。
あんなに楽しかったのに。

夜、一人で考えていると、言い様もない不安が押し寄せて来た。
不安でたまらなくなって、気づけば携帯を握りしめていた。
我知らず回線を繋げたのは、今までで一番信頼できた人。


「お前は、影山とは、違う」


抱きしめる腕に力を込め、源田は言う。
その言葉に、鬼道は酷く安心した。
ひょっとすると、誰かに否定してほしかっただけかもしれない。
いや、正確には監督にも否定はしてもらった。だが、不安は募るだけで。
多分、自分はこいつに否定してほしかったのだ。ずっとそばにいてくれたこいつに。

「お前はサッカーの本当の楽しさを知っている。俺たちにもそうしようとしてくれた。
 大丈夫だ。俺は知っている。お前は仲間思いだってことも、本当は優しいってことも」

ただ少し、頑固なだけだ。と笑いながら言われた言葉につられて笑ってしまう。
張りつめていた不安が、徐々に緩んで行く。
ありがちな言葉で励まされただけなのに、なぜこうもこいつの言葉は落ち着くのだろう。
言葉の優しさと、腕の中のぬくもりで、今まで感じなかった眠気が押し寄せる。
時間は、もうすぐ4時になろうとしていた。
わずかに、あくびをかみ殺す。

「……眠いか?」
「少し、な。お前も眠いだろう。すまなかったな、こんな夜中に」
「気にするな。お前が一人で思い詰めている方がよっぽど辛い」
「…すまない」

安心したような、穏やかな表情。
それを見ると、源田も安心したのかあくびをかみ殺す。

「……帰るか」
「そうだな。…泊まっていくか?」
「親になんて説明するつもりだ」
「……それもそうだ」

2人で、元来た道を歩き出す。
空は、僅かに白んでいた。

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